◎庶民院(下院)の規律を維持する役目を担っていたピンチャー院内副幹事長は29日の夜、民間の会員制クラブで男性2人の体をいやらしい手つきで触った。
2022年6月30日/スペイン、NATOサミット会場、イギリスのジョンソン首相(Paul White/AP通信)

イギリスのジョンソン(Boris Johnson)首相は1日、与党保守党の議員が酔っぱらった勢いで男性2人に「手探り」した事件を受け、野党から糾弾された。

庶民院(下院)の規律を維持する役目を担っていたピンチャー(Chris Pincher)院内副幹事長は1日、ジョンソン氏に辞表を提出した。

BBCニュースは辞表を引用し、「6月29日の夜、私は飲み過ぎました」と報じた。「私は自分自身や他の人々に恥をかかせてしまいました。それは一番避けたいことであり、あなた(ジョンソン氏)とすべての関係者に謝罪します...」

しかし、手探りしたピンチャー氏は議員辞職を否定し、庶民院の片隅でジョンソン氏を支え続けると誓った。

野党は手探りを非難し、一部の保守党員も深刻な懸念を表明した。

ジョンソン氏は当初、ピンチャー氏の党員資格停止を求める声に抵抗していたが、調査機関に正式な苦情が提出されたことを受け、圧力に屈した。

BBCによると、ジョンソン氏はピンチャー氏を停職処分とすることに同意した。

この手探りスキャンダルは、ジョンソン氏が抱える問題に拍車をかけ、野党「労働党」を勢いづかせた。

労働党のレイナー(Angela Rayner)副党首はBBCニュースのインタビューの中で、「ボリス・ジョンソンは全く行動を起こさないまま、引きずり回されている」と語った。

ジョンソン氏は先月、保守党による不信任投票を何とか乗り切ったものの、党員の40%以上が反対票を投じ、求心力の低下が鮮明となった。

コロナ禍で行われた保守党のパーティーをめぐるスキャンダルは「パーティーゲート事件」と揶揄され、ジョンソン氏の支持率を押し下げた。今年4月には庶民院内でポルノを鑑賞した保守党員が議員辞職している。

G7首脳会議とNATO首脳会議を終え帰国したばかりのジョンソン氏は、保守党員による恥ずかしい事件を闇に葬りたいと考えていたが、野党と国民は許さなかった。

保守党のダウデン(Oliver Dowden)幹事長は先週、予備選挙で野党に大敗し、2議席失ったことを受け、辞職した。

しかし、ジョンソン氏は早期解散を否定している。

英タブロイド紙サン(The Sun)によると、ピンチャー氏は29日の夜、民間の会員制クラブで男性2人の体をいやらしい手つきで触ったという。ロンドン警視庁はこの事件に関する報告をまだ受けていないと説明している。

ピンチャー氏が自身の問題で役職を辞職するのは2度目である。メイ(Theresa May)前首相は2018年、ピンチャー氏を副幹事長に任命した。

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