◎ルワンダ政府は亡命希望者を保護する代わりに、最大1億4400万ユーロ(約200億円)の融資をイギリス政府から受けることになる。
欧州人権裁判所(ECHR)は14日、イギリスに不法入国した移民をルワンダに強制送還する協定に待ったをかけ、14日遅くに予定されていた第1便の離陸を阻止した。
両国は今年4月に協定を結び、国連を含む国際機関から批判を浴びた。
英BBCニュースなどによると、亡命希望者の弁護団は送還リスト入りした全員を保護するための訴訟を開始したという。
トラス(Liz Truss)外相は14日遅くに第1便が離陸すると説明していたが、便はキャンセルされた。
移民保護団体や複数の労働組合は強制送還を阻止するために奮闘し、成果を上げた。英国国教会の指導者もジョンソン政権の政策を「不道徳」呼び、反対している。
しかし、大騒動にもかかわらず、ジョンソン政権は協定を擁護し、「この計画は人命を守り、ドーバー海峡をボートで横断しようとする亡命希望者を助け、人々に新たな生活を提供するだろう」と主張した。
パテル(Priti Patel)内相は14日、「離陸できなかったことを残念に思うが、イギリスは正しいことを躊躇なく実行する」と述べた。「政府の法務チームはこのフライトに関する判決を精査し、次のフライトのための準備を開始しました」
ルワンダ政府は亡命希望者を保護する代わりに、最大1億4400万ユーロ(約200億円)の融資をイギリス政府から受けることになる。
強制送還された人々はルワンダで亡命申請できる。
反対派は「住みたくもない国」に人々を送ることは違法かつ非人道的であると主張している。イギリスに不法入国を試みる亡命希望者は増加傾向にあり、シリア、アフガニスタン、イラン、スーダン、イラク、イエメンの難民などが亡命を希望している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は戦争、紛争、弾圧、自然災害などにより故郷を捨てざるを得なかった人々の強制送還を「残酷」と表現し、協定を非難した。「虐げられた人々をムチ打つ協定に反対します...」
デンマークとオーストリア政府も同様の協定を検討している。
英連邦のオーストラリアは2012年から太平洋の島国ナウルの施設に亡命希望者を閉じ込め、批判に直面している。
UNHCRによると、戦争や紛争などにより自宅を失った人はこの20年間で数千万人に達し、世界の難民は2600万人を超えたという。難民の数はこの20年間で2倍以上に増加した。
さらに、先進国への亡命を求める数百万人が「自主的に」故郷を捨て、危険な旅に出ているという。
英仏のドーバー海峡には頼りないボートで荒波を越えようとする亡命希望者が押し寄せ、悲惨な事故が何度も発生している。昨年11月の転覆事故では27人の死亡が確認された。
ジョンソン(Boris Johnson)首相は海峡横断を「危険極まりない」と批判し、危険な旅を阻止するためにできる限りのことをすると国民に約束している。