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英ユダヤ施設放火事件、45歳と47歳の男逮捕


消防によると、ユダヤ人ボランティア団体が運営する施設内にとめていた車両4台が全焼した。
2026年3月23日/イギリス、ロンドン市内、放火された車両の残骸(AP通信)

イギリス・ロンドンでユダヤ系慈善団体が所有する車両が放火された事件をめぐり、ロンドン警視庁は25日、45歳と47歳の男2人を放火および人命を危険にさらした疑いで逮捕したと明らかにした。事件はロンドン北部の地区で23日に発生し、警察は反ユダヤ主義に基づくヘイトクライムとして捜査を進めている。

消防によると、ユダヤ人ボランティア団体が運営する施設内にとめていた車両4台が全焼した。車両内に搭載されていた酸素ボンベが爆発したことで周辺の建物の窓ガラスが割れるなど被害が拡大したが、人的被害は報告されていない。現場周辺はユダヤ人住民が多く暮らす地域で、宗教施設の近くで発生した点も含め、地域社会に大きな衝撃を与えている。

ロンドン警視庁の対テロ部門によると、防犯カメラ映像には少なくとも3人が放火に関与している様子が映っており、今回逮捕された2人以外にも関係者がいるとみられる。警察はロンドン北部の複数の住宅を家宅捜索し、証拠収集を進めている。担当責任者は今回の逮捕について、「重要な進展」と評価しつつも、全容解明にはさらなる捜査が必要だと強調した。

また、事件については中東と関係が疑われる組織が犯行声明を出し、当局はその信憑性を慎重に検証している。この組織は過去にも欧州各地のユダヤ関連施設への攻撃を主張し、英当局は国外勢力との関連性も視野に入れている。ただし、現時点で事件は正式にテロ行為とは認定されておらず、あくまでヘイトクライムとして扱われている。

事件を受け、イギリス政府はユダヤ人コミュニティの安全対策を強化している。警察は宗教施設周辺での警戒を強め、警察官の巡回を増やすなどの対応を取った。事件はユダヤ教の春の祭り「過越の祭り」を控えた時期に発生したため、宗教的緊張の高まりを懸念する声も出ている。

イギリスでは近年、反ユダヤ主義的な言動や暴力事件が社会問題となっており、今回の放火はその延長線上にあるとの見方も強い。医療支援を目的とする慈善団体の車両が標的となったことで、単なる器物損壊にとどまらず、人命を脅かす悪質な行為として非難が広がっている。

警察は引き続き関係者の特定と動機の解明を進めるとともに、地域住民に対し情報提供を呼びかけている。今回の事件はイギリス社会におけるヘイトクライム対策と安全保障の課題を改めて浮き彫りにした。今後の捜査の進展が注目されている。

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