◎警察は25歳の男を現行犯逮捕した。
10月15日、英国議会下院のデービッド・アメス議員(69歳)が教会で刺殺された。警察によると、25歳の男を現行犯逮捕したという。
エセックス州警察は記者団に対し、「テロ対策部門が捜査を主導しているが、攻撃がテロかどうかはまだ分かっていない」と述べ、容疑者の詳細は明らかにしなかった。
ボリス・ジョンソン首相は声明で「ショックを受けている」と述べ、同僚の死を悼んだ。「今日、私たちは英国に尽くした立派な公務員である愛すべき友を失いました」
BBCニュースによると、アメス卿は現地時間15日の正午頃、ロンドンの東約60kmに位置するエセックス州リー=オン=シーのメソジスト教会で攻撃を受けたという。救急隊員は蘇生措置を施したが、現場で死亡が確認された。州警察はその場で容疑者を逮捕し、凶器のナイフを回収した。
州警察のベン・ジュリアン・ハリントン巡査長は、「対応に当たった署員は通報から数分で現場に到着し、容疑者を逮捕した」と述べた。また、事件を目撃した人、事件発生時の周辺の様子を捉えた映像を持っている人、その他何かしらの情報を持っている人は当局に情報提供してほしいと呼びかけた。
ハリントン巡査長は記者団に、「捜査はロンドン警視庁のテロ対策指令部が主導しており、テロ事件か否かの調査が進められている」と述べた。
事件現場の近くで働いている男性はスカイ・ニュースの取材に対し、「教会周辺は警察の関係者で埋め尽くされていた」と語った。
地元の肉屋で働く男性はBBCニュースに、「地域全体が悲しみに暮れ、沈んでいる」と述べた。「アメス卿はサウスエンド=オン=シーの誇りでした...」
アメス卿は1997年からエセックス州を含むサウスエンド=オン=シー(自治体)の保守党員を務めていた。庶民院(下院)に入ったのは1983年。庶民院で最も長く奉仕している議員のひとりだった。
アメス卿は2015年にナイトの称号を与えられた。
イギリスでは政治の二極化に伴い、政治家に対する暴力の懸念が高まっている。近年、議員を脅迫したとして数人が起訴された。
2016年のブレグジット国民投票の1週間前、野党労働党のジョー・コックス議員が集会準備中に刺され、死亡した。ネオナチとのつながりを指摘されている52歳の容疑者(男)は仮釈放なしの終身刑を言い渡された。
アメス卿は自身のウェブサイトで15日に行う予定だった集会の詳細を公開していた。イギリスの議員は議事堂内では警察の保護下に置かれるが、それ以外の場所では原則警察の手を離れる。
労働党のスティーブン・ティムズ議員は2010年、アルカイダの思想に影響を受けた学生に刺され、負傷した。
自由民主党のナイジェル・ジョーンズ議員と補佐官のアンドリュー・ペニントン氏は2000年に議事堂内で剣を振り回す男に襲われた。
ダウニング街の首相官邸は半旗を掲げ、アメス卿の死を悼んだ。
ジョンソン首相は声明で、「アメス卿は弱い立場の人々を助けるために働いていた」と述べた。
労働党のキール・スターマー党首は「打ちのめされている」と述べ、哀悼の意を表した。
ウィリアム王子とキャサリン妃は、「アメス卿は人生の40年を人々に捧げました」と声明を発表した。「イギリスは彼の家族、友人、同僚と悲しみを共有しています...」
保守党のテリーザ・メイ前首相は「悲劇的な日」とツイートし、トニー・ブレア前労働党首相は「ショックを受けている」と述べた。
BBCニュースによると、ロンドン警視庁は15日に事件を調査する委員会を設置し、セキュリティ部門、MI5の代表、プリティ・パテル内相などが協議に出席したという。