イギリス・ユダヤ施設放火事件、検察が少年含む3人起訴
事件は3月23日未明、ロンドン北部の住宅地で発生した。
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イギリス・ロンドンでユダヤ系慈善団体が所有する車両が放火された事件をめぐり、検察当局は3日、3人の男を放火などの罪で起訴したと明らかにした。事件は反ユダヤ主義的な動機が疑われており、地域社会に大きな衝撃を与えている。
起訴されたのは20歳と19歳の男、および17歳の少年で、いずれもロンドン東部在住とされる。3人は「生命を危険にさらす可能性を認識しながら放火した罪」などに問われ、今月出廷する予定である。
事件は3月23日未明、ロンドン北部の住宅地で発生した。ユダヤ人のボランティア団体が運営する救急サービスの救急車4台が標的となり、駐車中の車両に可燃物がまかれ放火された。火災は車両に搭載されていた酸素ボンベの爆発を引き起こし、周辺の住宅にも被害が及んだが、ケガをした人はいなかった。
この事件はテロとは認定されていないものの、その性質の重大性からロンドン警視庁の対テロ部門が捜査を主導している。警察は特定の宗教コミュニティに関連する医療サービスが狙われた点を重視し、ヘイトクライムとしての側面を含めて慎重に捜査を進めてきた。
これまでに別の2人の男(45歳と47歳)も事件に関連して逮捕された。今回起訴された3人はその後の捜査で関与が強まったとみられる。現場周辺の防犯カメラ映像には覆面をした複数の人物が放火に及ぶ様子が記録されており、警察は計画的な犯行の可能性も視野に入れている。
また事件直後にはイランと関連がある武装組織が犯行声明を出したとの情報もあるが、当局はその信憑性を確認しておらず、組織的関与の有無について引き続き調査中である。
被害を受けた施設はユダヤ人コミュニティを中心に無償で救急医療サービスを提供する団体が管理し、宗教や民族を問わず地域住民の命を守る役割を担ってきた。その救急車が標的となったことに対し、医療関係者や政治家から強い非難の声が上がっている。スターマー(Keir Starmer)首相も今回の事件を「衝撃的な反ユダヤ主義的攻撃」と表現し、社会全体での対策強化の必要性を訴えた。
ロンドンでは近年、宗教や民族を背景とするヘイトクライムが増加し、今回の事件もその流れの中で起きた可能性がある。警察はユダヤ関連施設の警備を強化するとともに、地域住民の安全確保に努めている。
今回の起訴は事件解明に向けた重要な一歩であるが、動機や背後関係の全容解明にはなお時間を要する見通しである。社会に不安を広げた今回の事件はイギリスにおけるヘイト犯罪対策と地域社会の安全確保の課題を改めて浮き彫りにした。
