◎NATO加盟国には5条(集団防衛)が適用されるが、申請中の国には適用されない。
スウェーデン政府は16日、NATO加盟を正式表明し、200年以上守ってきた軍事的中立から歴史的な転換を図った。
しかし、NATOの主要メンバーであるトルコは両国の加盟申請を強く批判し、「北欧諸国はクルド人武装勢力に甘すぎるため加盟を認めるべきではない」と明言した。NATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要である。
トルコは北欧諸国が数十年にわたって同国でテロリストと見なされているクルド人武装勢力「クルド労働者党(PKK)」を支援してきたと非難している。
スウェーデンのアンデション(Magdalena Andersson)首相は記者団に、「申請国は申請期間中、脆弱な立場に置かれる」と警告し、NATOに地域の安全保障を確立するよう呼びかけた。
またアンデション首相は、「ロシアは我々がNATOに加盟すれば対抗措置を取ると宣言している」と述べた。「空白期間中、スウェーデンが、例えば偽情報や国を威嚇し分裂させようとする試みにさらされる可能性を排除することはできません」
NATO加盟国には5条(集団防衛)が適用されるが、申請中の国には適用されない。
フィンランドもNATO加盟を正式表明している。
一方、トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は16日、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟に対する異議を強め、両国はPKKやその他のクルド人武装勢力に対する明確な立場を取らず、トルコに制裁を科していると非難した。
またエルドアン氏は、両国が指名手配中の「テロリスト」の引き渡しを拒否していると指摘した。「両国ともテロ組織に対して公然かつ明確な姿勢を取っておらず、トルコに制裁を加える者のNATO加盟にイエスと言うことはできません」
スウェーデンの国防相は16日に放送された公共放送SVTのインタビューの中で、「代表団をアンカラに派遣し、この問題について議論する予定」と語った。
ロシアは1340kmもの国境を共有するフィンランドとスウェーデンがNATO加盟を目指した場合、「結果を伴う」と警告している。
プーチン大統領は16日、集団安全保障条約機構(CSTO)の演説で、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟申請を「問題はない」と述べる一方、「NATOが北欧に軍事インフラを拡張すれば、当然、我々は反応する」とけん制した。
アンデション首相はフィンランドと同じタイミングで加盟を申請するとしている。
スウェーデンの野党党首クリステルソン(Ulf Kristersson)議員は16日、「政府は(ロシアの)攻撃の際に他国から軍事支援を受けられるようにする法案を準備している」と説明した。「ロシアの指導者はウクライナをいじめ、ウクライナや他の国々の自決を操作できると考えていました。彼はスウェーデンとフィンランドを怖がらせ、隣国や同盟国との間にくさびを打ち込むことができると考えていました。彼は間違っていました」
スウェーデンは地域の軍事大国だったが、ナポレオン戦争の終結以来、軍事同盟を避けてきた。しかし、1991年のソ連崩壊後はNATOと緊密な関係を構築し、1995年のEU加盟で同盟国との関係を強化した。
アンデション首相率いる社会民主党は15日、軍事的中立を維持するという長年の立場を覆し、議会で大多数の支持を得た。現地メディアによると、16日の議論で加盟に異議を唱えたのは少数政党の左派と緑の党だけだった。
左派党首は記者団に、「NATO加盟はバルト海地域の緊張を高める」と語った。「それはウクライナの助けになりません」
アンデション首相は加盟手続きを進める一方、国内に核兵器やNATO軍の恒久基地は設置しないとしている。
16日にフィンランドを訪問しニーニスト(Sauli Niinisto)大統領と会談した米共和党のマコーネル(Mitch McConnell)上院少数党首は、「米議会は8月の休会前に両国の加盟を批准する見込み」と明らかにした。
北欧のNATO加盟国ノルウェー、デンマーク、アイスランドも16日の共同声明で、両国の審査プロセスを支援すると表明した。