◎ギリシャとトルコは名目上はNATOの同盟国だが、その関係は緊迫している。
2022年3月24日/ブリュッセルのNATO本部、トルコのエルドアン大統領(右)とギリシャのミツォタキス首相(Getty Images/AFP通信)

トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は24日、隣国ギリシャの首相の存在を認めず、予定していた首脳会談を中止すると発表した。

ギリシャのミツォタキス(Kyriakos Mitsotakis)首相は先週、ホワイトハウスでバイデン(Joe Biden)大統領と会談した。

エルドアン氏は24日の閣議後、記者団に対し、「ギリシャがトルコに対する米国のF16戦闘機売却を阻止している」と非難した。「私の辞書の中にミツォタキスという人物は存在しません...」

ミツォタキス氏は米議会の演説で次世代戦闘機F-35の購入プログラムへのトルコの参加禁止を撤回しないよう求めていた。

AP通信などによると、バイデン政権はトルコが2019年にロシアのS-400防空システムを購入した後に科した禁止令の取り下げを検討しているとみられる。

ギリシャ政府は24日、「対立に巻き込まれることはない」と声明を発表したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

トルコはスウェーデンとフィンランドのNATO加盟に強く反対しており、ギリシャとの関係悪化は問題を複雑にする恐れがある。

エルドアン氏はスウェーデンとフィンランドがトルコでテロ組織に指定されている「クルド労働者党(PKK)」を支援していると非難している。

エルドアン氏は記者会見の中で「NATO同盟国のギリシャもテロリストをかくまっている」と非難し、「ギリシャのEU加盟(1980年)は間違いだった」と主張した。

またエルドアン氏はミツォタキス氏の米議会演説を「ロビー活動」と非難し、トルコとギリシャの争いに第三国を巻き込まないという合意に反していると指摘した。「年末に予定していた首脳会談も中止です...」

ギリシャとトルコは名目上はNATOの同盟国だが、その関係は緊迫している。

1974年のキプロス紛争でキプロス島が二分されて以来、両国はその地位をめぐって激しく対立してきた。北キプロス・トルコ共和国はトルコ軍の支援を受け独立を宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

トルコは2020年、ギリシャの領海内でガス田探査を強行した。

トルコ、ギリシャ、キプロスは海上の国境について合意できていない。この海域では過去10年の間に大規模な石油、天然ガス資源が見つかっており、緊張が高まっている。

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