「お断りします」トランプ氏のグリーンランド病院船計画
米海軍が保有する2隻の病院船「USNSマーシー」と「USNSコンフォート」は現在アラバマ州の船舶修理施設に係留されているとの情報もあり、直ちに派遣可能かは不透明な状況だ。
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トランプ(Donald Trump)米大統領がデンマーク自治領グリーンランドに病院船を派遣すると宣言したことに対し、デンマークとグリーンランドの指導者らが「大丈夫です」「必要ないよ」と反発し、両国の公的医療制度を擁護する事態となっている。トランプ氏は21日、自身のSNSに声明を投稿し、グリーンランド担当特使と協力して、「病気で十分に治療を受けていない多くの人々のために、素晴らしい病院船をグリーンランドに送る」と主張した。
トランプ氏の投稿には「もうすぐ到着する!」との文言が含まれていたが、どの病院船を使うかや派遣の正式な計画について政府からの明確な説明は出ていない。米海軍が保有する2隻の病院船「USNSマーシー」と「USNSコンフォート」は現在アラバマ州の船舶修理施設に係留されているとの情報もあり、直ちに派遣可能かは不透明な状況だ。
これに対してグリーンランド自治政府のニールセン(Jens-Frederik Nielsen)首相は「要らない」と明言。グリーンランドには市民が無料で医療を受けられる公的医療制度が存在し、それが社会の基盤であると強調した。また、米国とは異なり、診察に費用がかからない点を対比しつつ、「われわれは対話と協力に常に開かれているが、このような声明をSNSで発信するのではなく、きちんと話し合うべきだ」と述べた。
デンマーク政府も、米側から病院船派遣の通知を受けていないとした上で、グリーンランドの市民は必要な医療サービスを十分に受けており、専門治療が必要な場合はデンマーク本国で対応していると説明した。グリーンランド内には複数の地域病院が存在し、首都ヌークの病院を中心に住民の医療ニーズを満たしている。
デンマークのフレデリクセン(Mette Frederiksen)首相もSNSで、デンマーク国民が無料で平等に医療を受けられる制度を誇りに思うと表明。グリーンランドも同様の原則に基づいているとし、保険や富の有無で治療が左右される米国の医療制度とは異なる点を強調した。
グリーンランド議会の議員たちもSNSに「トランプ氏は整備不十分な病院船を送ろうとしているようだ」「大丈夫です、ありがとう」などと投稿し、グリーンランドの医療制度強化には持続可能な協力が必要であり、今回の提案はそれに寄与しないとの見解を示した。
この問題はトランプ氏が戦略的な価値の高い資源豊富なグリーンランドを取得したいと繰り返し主張してきたことに起因する緊張の中で起きている。グリーンランドはデンマークの自治領であり、その主権尊重を求める声はデンマークとグリーンランド両政府から強く発せられている。今回の病院船提案をめぐるやりとりは、両国間の外交関係や北極圏における安全保障協力にも影響を及ぼす可能性がある。
