SHARE:

トランプ・グリーンランド購入計画、EUが怒りと抵抗示す、NATO崩壊へ

トランプ氏は米国がグリーンランドの「完全な購入」を目指すと改めて主張し、その圧力として、同島の主権を支持する欧州8カ国からの輸入品に追加関税を課す方針を表明した。
2026年1月19日/米フロリダ州ウェストパームビーチの国際空港、トランプ大統領(AP通信)

トランプ(Donald Trump)大統領がデンマーク自治領グリーンランドをめぐる発言や対抗措置を強めたことに対し、EUとNATO加盟国の間で激しい反発と軋轢(あつれき)が生じている。トランプ氏は米国がグリーンランドの「完全な購入」を目指すと改めて主張し、その圧力として、同島の主権を支持する欧州8カ国からの輸入品に追加関税を課す方針を表明した。これが欧州側の強い非難と報復検討へとつながっている。

トランプ氏はSNS上でデンマーク、イギリス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、オランダの製品に10%の関税を課すと警告し、合意に至るまで段階的に最大25%に引き上げる考えを示した。これはグリーンランドの自主性を支持し、同島の軍事演習に参加した欧州各国への「報復」として位置づけられている。

これに対してEUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は20日、世界経済フォーラム(WEF)年次総会で「圧力は国際法と取引協定への裏切りだ」と強く批判し、EUは「断固として、結束し、対応する」と述べた。関税に対抗する措置として、米国からの輸入品に対する930億ユーロ規模の報復関税を検討しているとの報道もある。

フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領も同様に「同盟国への不当な圧力」と非難。さらにEU加盟国首脳らは共同声明で米国の動きを「新たな植民地主義」とする見方を示した。これらの発言は欧州側の結束した対抗姿勢を浮き彫りにしている。

グリーンランドのニールセン(Jens-Frederik Nielsen)首相は20日、国際法と自治権への尊重を改めて求めると同時に、トランプ氏の発言は地域の安定を損なうと警告した。デンマークのフレデリクセン(Mette Frederiksen)首相も「最悪の展開に向かっている可能性がある」と懸念を示している。

今回の対立の背景には北極圏の戦略的重要性がある。グリーンランドは豊富な資源と軍事的価値を持つため、米国は安全保障上の理由から同島の影響力確保を重視している。一方、欧州はNATOの集団防衛義務に基づき、デンマーク領土としての主権と国際秩序を守るべきだと反論している。

NATO内部ではトランプ氏の強硬な対応が同盟の信頼関係を損なうとの懸念が高まっている。欧州側は米国依存からの脱却や独自の防衛強化を訴える声も上がっており、北大西洋同盟の将来に対する疑問が浮上している。また、米国内でも議員らが追加関税の阻止に動くなど、対立は国内外で波紋を広げている。

このように米欧間での外交的緊張は高まり続け、グリーンランド問題は単なる地政学的関心を超えて、長年の同盟関係と国際秩序を試す重大な局面となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします