◎モルドバはNATO非加盟国である。
2022年4月26日/モルドバ、沿ドニエストル、崩壊したラジオアンテナ(Press Center of the Ministry of Internal Affairs of the Pridnestrovian Moldavian Republic/AP通信)

ウクライナと国境を接する沿ドニエストルの警察当局は26日、国境近くのラジオアンテナが爆破され使用不能になったと発表した。

沿ドニエストルは1990年代初頭の「トランスニストリア戦争」でモルドバから独立したと主張しているが、モルドバ政府と国際社会はこれを認めていない。ロシア軍は分離主義勢力のテロ作戦を支援し、平和維持活動という名目で兵士1500人を駐留させている。

ウクライナ当局は、ロシアが沿ドニエストルの部隊を動かす可能性があると懸念を表明した。モルドバ政府も沿ドニエストルとの新たな戦争に懸念している。

モルドバはNATO非加盟国である。

沿ドニエストル当局によると、爆発はウクライナ国境から西に約12kmほど離れた小さな町で発生したという。負傷者はいなかったと伝えられている。

倒壊した2つのラジオアンテナは、ロシアのラジオ番組を受信するためのものである。

一部の専門家は、「ロシアはラジオ塔爆破をウクライナ軍の犯行と決めつけ、沿ドニエストルの部隊を侵攻作戦に加える可能性がある」と指摘している。

米国防総省も爆破をロシアの「偽旗作戦」の可能性があると警告した。

沿ドニエストルでは25日にも爆発が報告されている。当局はRPG(対戦車ロケット擲弾発射器)によるものと思われる複数の爆発が国家保安庁の庁舎で確認されたと報告した。

また沿ドニエストルの議会は、25日に東部ティラスポリで、26日にはパルカニと呼ばれる村で爆発が確認され、部隊が被害を受けたと報告した。

部隊がどのような被害を受けたかは明らかにされていない。

沿ドニエストルの大統領は26日、都市の入り口に検問所を設置し、15日間の対テロ取り締まりに移行すると発表した。

ロシアのペスコフ報道官は沿ドニエストルの爆破事件について、「懸念している」と記者団に語った。

ウクライナのポドリャク大統領顧問は「次はモルドバが攻撃されるかもしれない」とツイートしている。「明日ウクライナが陥落すれば、ロシア軍はキシナウ(モルドバの首都)の門を叩くだろう」

また大統領顧問は、「モルドバ政府はウクライナと連携して行動する必要がある」と強調した。「ウクライナはこの地域の安全を確実に確保します。しかし、我々はチームとして動く必要があります」

モルドバのマイア・サンドゥ大統領は26日、緊急安全保障会議を招集し、今回の事件について議論した。

会議後、サンドゥ大統領は記者団に、「地域情勢の不安定化を狙う勢力が爆破したと示唆される」という見方を示した。

モルドバ政府は関係機関の警戒レベルを引き上げ、国境と沿ドニエストル周辺のパトロールを強化するとした。

サンドゥ大統領は、「我々はモルドバの平和を危うくする行為、紛争を誘発しようとするいかなる挑戦や試みも非難する」と述べた。「政府はトランスニストリア戦争の平和的解決を主張し続けます」

国連報道官はグテレス事務総長の声明を発表し、すべての関係者に緊張をエスカレートさせるような行動や発言を控えるよう求めた。

また報道官は、「国連は分離主義地域(沿ドニエストル)の地位に関する政治的解決に向けたOSCE(欧州安全保障協力機構)の取り組みを引き続き支援する」と述べた。

OSCEはモルドバの主権と領土保全を強化しつつ、沿ドニエストルに特別な地位を付与することを目指している。

2022年4月26日/モルドバと沿ドニエストルの検問所(Aurel Obreja/AP通信)
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