EU外相、ロシアに「譲歩」求める、ウクライナ和平交渉難航
カラス氏はブリュッセルの記者団に対し、米国主導の和平交渉が進んでいないのはロシア側が真剣に交渉していないためだとの見方を示した。
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EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は10日、ロシアがウクライナ戦争の終結と和平を実現するために「譲歩すべき」条件のリストを作成中だと明らかにした。これは米国が仲介する和平交渉が進展していないとの懸念が高まる中で打ち出されたもので、EUはロシア側に具体的な譲歩を求める姿勢を強めている。
カラス氏はブリュッセルの記者団に対し、米国主導の和平交渉が進んでいないのはロシア側が真剣に交渉していないためだとの見方を示した。最近行われたアラブ首長国連邦(UAE)アブダビでの米国仲介によるロシア・ウクライナ協議では、囚人交換に合意したものの大きな進展はなかった。協議期間中にはロシア軍によるウクライナの市場に対するクラスター爆弾攻撃で民間人が死亡するなど、戦闘行為が続いていることも強調された。
カラス氏は会見の中で、「EUは持続可能な平和を確立するには、ロシアと米国、そして欧州の意見が統一される必要がある」と指摘。特にロシアに対して条件を課すべきだと強調し、ウクライナ側にこれ以上過度な負担を強いるべきでないとの立場を示した。
検討されている条件の例として、ロシアが戦争中にウクライナから連れ去ったとみられる多数の子どもを返還することや、戦後のロシア軍の規模を制限することなどが挙げられている。カラス氏は「ウクライナ軍が問題なのではなく、ロシア軍とその軍事支出が戦争再発のリスクを高めている」と述べ、軍事力の制限を求める方針を示した。
このリスト案は今後数日以内にEU加盟国間で共有され、2月23日に予定されている外相会合で議論される見込みだ。EUはロシアとの交渉において欧州自身の立場を明確にし、持続可能な和平実現への道筋を示す必要があると強調している。
カラス氏はまた、ウクライナが米国への依存を強める中で多くの譲歩を強いられてきたとして、この構図の是正を訴えた。また「弱い側に圧力をかけることは一時的な停戦合意につながるかもしれないが、それは持続的な平和とは言えない」と述べ、単なる戦争終結の宣言では不十分だと指摘した。
EUは別途、対ロシア制裁の強化も進めており、ロシア産油輸送船向けの修理・サービス禁止措置の導入などを検討している。カラス氏はロシア経済が制裁の影響を受けていると述べ、圧力を維持する必要性を訴えた。
一方、交渉の当事者であるロシア側も安全保障上の保証の重要性を主張し、NATOの拡大阻止やウクライナ領への外国軍隊の不駐留などを求める立場を示している。こうした相反する要求の間で6月の和平合意期限に向けた調整はなお困難を極める見通しだ。
