▽4日の「やり直し大統領選」ではシミオン氏が得票率41%で圧勝。2位はブカレスト市長のダン氏で、与党候補のアントネスク氏は決選投票に進めなかった。
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ルーマニアの首都ブカレストで9日、EUを支持する選挙集会が行われ、数千人が参加した。
デモ隊は5月18日の大統領選決選投票に進出したルーマニア統一連盟(AUR)の極右シミオン(George Simion)氏を非難し、EU路線の継続を訴えた。
現地メディアによると、デモ隊は市内を行進した後、ブカレスト中心部の政府庁舎前に集まったという。
地元メディアの世論調査ではシミオン氏がリードを保っている。一部のEU諸国はこの結果がEUとNATO加盟国の地政学的方向性を再編成する可能性があると警告している。
4日の「やり直し大統領選」ではシミオン氏が得票率41%で圧勝。2位はブカレスト市長のダン(Nicusor Dan)氏で、与党候補のアントネスク(Crin Antonescu)氏は決選投票に進めなかった。
ダン氏はこの決戦投票でルーマニアがEU路線を維持するか、東側に傾くかが決まることになると指摘している。
中道と左派はシミオン氏がロシア寄りの政策を主導すると主張。シミオン氏が大統領に就任すれば、ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、EUとNATOの両方が弱体化すると警告してきた。
しかし、シミオン氏は今週、AP通信のインタビューで左派の主張を否定。「ロシアに近づくことはルーマニア国民のためにならない」と強調した。
シミオン氏は「ルーマニア・ファースト」を公約に掲げ、保守的な政策、ユーロ懐疑主義、トランプ(Donald Trump)米大統領のMAGA運動との緊密な連携を提唱している。
4日の選挙はルーマニア国民の強い反体制感情を浮き彫りにし、伝統的な主流政党に厳しい現実を突きつけた。ルーマニアを含むEUでは極右政党が躍進し、政治的混乱が拡大している。
憲法裁判所は昨年12月、大統領選第1回投票の結果を無効と判断し、親ロシア派の極右ジョルジェスク(Calin Georgescu)氏の決選投票進出に待ったをかけた。
やり直し大統領選までの間、上院議長が大統領代行を務めている。
憲法裁は人工知能(AI)を含むデジタル技術の違法な使用や、未申告の選挙資金が使用されたと指摘。また、ジョルジェスク氏がソーシャルメディア・プラットフォームで「優遇措置」を受け、その結果、有権者の意思表示が歪められたとしている。
また憲法裁は「ロシアの介入が疑われる」と指摘した。
選挙管理委員会は先月初め、ジョルジェスク氏のやり直し大統領選への立候補を拒否。ジョルジェスク氏は憲法裁に異議を申し立て、この決定を覆すよう求めたが、憲法裁はこれを退けた。
シミオン氏は自身が勝利した場合、ジョルジェスク氏を要職に起用すると示唆している。