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▽この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。
2025年5月1日/セルビア、首都ベオグラード、政府与党に抗議するデモ(AP通信)

セルビア全土で1日、北部ノビサドの駅で半年前に発生した駅天井崩落事故に抗議する集会やデモ行進が行われ、数万人が参加した。

ノビサドでは事故現場の駅前に数千人が集まり、犠牲者に黙とうを捧げた。

この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。

ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。

セルビアではこの事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。

このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。

この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。

首都ベオグラードでは主要労働組合がメーデー集会に合わせて学生ユニオンに合流。労働法の改正を要求した。

集会に参加した女性はAP通信の取材に対し、「汚職政治家はこの恐ろしい事件をもみ消し、何食わぬ顔で野党や人権団体を弾圧している」と語った。

学生ユニオンはノビサド駅の前に「ノビサドを忘れない」と刻まれた石碑を建立した。

反対派と親政府派の対立が深まる中、各地で親政府派が反対派を襲撃する事件が相次いでいる。

南部ニシュで3月末、デモに参加していた大学の職員がナイフで切りつけられる事件が発生。職員は手に軽傷を負ったものの、命に別条はなかった。警察が殺人未遂の疑いで女を現行犯逮捕した。

ベオグラードの繁華街にある政府庁舎の周りには数千人が市内各地から押し寄せ、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に抗議した。

国営放送や地元のタブロイド紙は学生ユニオンを「過激派」「外国勢力」などと呼び、市民に支持しないよう働きかけてきた。

ブチッチ氏はデモに対抗するため、公費を使って親政府イベントを開催中だ。

ブチッチ氏は学生ユニオンを「国家を破壊しようとするテロリスト」と呼んでいる。

ベオグラードの国会議事堂周辺の公園では1日、親政府派がメーデー集会を開き、バーベキューや音楽イベントも行われた。

この公園では数週間前から親政府派が野営し、警察が警備を担当している。その中にはブチッチ氏を守るためにはせ参じた屈強な元軍人が多数含まれている。

ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は1月末、政府との対話に応じるようデモ隊に求め、辞意を表明。ノビサドの市長も同日辞任した。

政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。

検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。

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