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ブルガリア首都で26年度予算案に抗議するデモ、ケガ人も

抗議の背景には、予算案に盛り込まれた大幅な税・社会保障料の引き上げ案がある。
2025年11月26日/ブルガリア、首都ソフィア、来年度予算案に抗議するデモ(AP通信)

ブルガリアの首都ソフィアで26日、来年度の予算案に抗議する集会が開かれた。

主催は野党連合WCC-DB(We Continue the Change – Democratic Bulgaria)で、主催者発表によると、約2万人が参加。多数の市民が首都中心部に結集し、「税負担増反対」「納税者の声を政府に聞かせよう」と声を上げた。

抗議の背景には、予算案に盛り込まれた大幅な税・社会保障料の引き上げ案がある。具体的には、社会保障負担の増加や、配当課税(配当税率)を従来の5%から10%へ倍増させる案などで、これが企業や個人の財政負担を重くするとの懸念が広がっていた。

また、支出の拡大も目立ち、支出総額は過去最大水準となり、GDPの約46%に達する見込みだ。これを賄うため、増税とともに公的債務の急拡大も想定されている。

デモでは参加者が国会議事堂を囲む人間の鎖を作り、議員らの通行を妨げようと試みた。

議員らの車両を阻止する動きもあったため警察が介入、衝突に発展。デモ参加者から警察に向けて瓶や発煙筒などが投げられたと報じられ、警察官3人が負傷した。

主催者側は「扇動者が紛れ込んだ」と述べ、デモを平和的に続けるよう呼びかけた。

この抗議は単なる野党と支持者の行動にとどまらず、労働組合や民間セクターの団体、若年層、さらには複数の政治勢力も巻き込む広範な反対ムードを反映していた。

WCC-DBの議員らもデモに参加し、汚職体質が残る政府・行政への不信感や、増税で市民生活と企業活動が圧迫される懸念を強く訴えた。

しかし現状では、与党連合は議会内で過半数を保持しており、今回の予算案は最終的に可決される可能性が高いとみられている。

経済専門家や社会団体からは「今回の案は財政赤字と国債の膨張を招きかねず、将来へのリスクが大きい」との警告もあがっていたが、政府は景気対策や公共支出の必要性を主張している。

一連の抗議は、同国が2026年初頭に予定するユーロ導入を目前に控えた時期に行われたこともあって、市民や企業にとって新予算がもつ意味の重さが改めて浮き彫りになった。

一部では、増税・負担増によってユーロ導入の恩恵が実感できなくなるのではないか、との不安もある。

今後、どれだけ市民の声が議会や政府に届くか、 また政府が財政運営と経済政策をどう舵取りするかが、国内の安定だけでなく、ユーロ圏加盟後の国際的な信用や経済の持続性にも関わる重大な問題として注目される。

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