クロアチアで極右勢力の台頭に抗議するデモ、数千人が行進
こうしたデモの背景には、ここ数か月の間に民族マイノリティやリベラル系団体を標的とした極右勢力による一連の事件があった。
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クロアチアの4都市で11月30日、極右勢力の台頭と、それに伴う民族的・政治的緊張の高まりに抗議する大規模なデモが行われた。
地元メディアによると、首都ザグレブの集会には数千人が参加したという。
この抗議行動は「ファシズムに反対する連帯」というスローガンの下で組織され、参加者たちはプラカードを掲げつつ「我々は皆アンチファシストだ」と唱和。極右が恐怖や弾圧を通じて異議を唱える人々を黙らせようとする動きに対して、断固として抵抗する意思を示した。
またデモ参加者は第二次世界大戦中にナチスと結んだ傀儡国家としてファシズム政権を敷いていた旧体制(ウスタシャ政権)を礼賛あるいは再評価するような動き、並びにその象徴やスローガンの使用を断固として拒否するよう当局に訴えた。
そして、「ナショナルマイノリティを挑発とみなすような誇りではない愛国主義」「歴史の暗黒時代から再び象徴を持ち出すような考え」を受け入れないと宣言した。
こうしたデモの背景には、ここ数か月の間に民族マイノリティやリベラル系団体を標的とした極右勢力による一連の事件があった。特に、民族セルビア人の文化イベントに対する妨害行為や、リベラル系集会への敵意、さらには外国人労働者への差別的対応などが報告されており、社会の分断が深まる懸念がある。戦時中のスローガン「Za dom spremni(祖国のために ― 用意せよ)」を掲げるなど、過去のファシズム体制を彷彿とさせる行動も確認されている。
デモはザグレブを含む少なくとも4都市で行われた。ザグレブでは最大で5000人が参加したと報じられており、国内各地での同時多発的な抗議となった。
一方で、これに対する反発や対抗集会も発生。黒装束の若者たちが集まり、過激なスローガンを唱えたり、デモ隊に向けて火花や塗料を投げつけるなど、小規模ながら衝突を伴う事態も報告された。都市部では警察による介入が入り、数人が拘束されている。
今回の抗議を主催した市民団体や参加者はこれが単なるデモではなく、「民主主義と多様性を守るための戦いの始まりだ」と位置づけている。ザグレブの集会に参加したジャーナリストはAP通信の取材に対し、「我々は静かにはしない。民主的な社会のために戦う」と語った。
