フランスとイタリアの首脳が舌戦、極右活動家殺害巡り対立
この事件は単なる刑事事件ではなく、欧州全体の政治的緊張や各国指導者の立場の違いを映し出す象徴的な出来事となっており、今後の政治情勢への影響が懸念される。
とフランスのマクロン大統領(AP通信).jpg)
フランスで先週発生した極右活動家の殺害事件を巡り、マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領とメローニ(Giorgia Meloni)伊首相の間で外交的摩擦が強まっている。事件は2月12日、南東部リヨンで行われたデモの際に23歳の極右活動家カンタン・ドゥランク(Quentin Deranque)氏が複数の若者に暴行され、その後死亡したことに端を発する。地元検察はこれを殺人事件として捜査し、これまでに11人が拘束され、うち7人に殺人関連の容疑がかけられていると発表した。うち1人は左派政党「不屈のフランス(LFI)」の議員の元秘書補佐で、現場に居合わせた事実は認めつつ殺害に関与したことは否定しているという。
ドゥランク氏はリヨンの大学で行われた政治イベントに関連する抗議デモに参加していた際、複数人から暴行を受け、脳損傷により死亡した。事件はフランス国内で極左と極右の激しい対立と暴力の連鎖を象徴する出来事となり、3月に予定されている地方選挙や2027大統領選を前に政治的緊張を高めている。
この殺害を受け、メローニ氏は18日、事件について「極左勢力に関連するグループによる攻撃で若い活動家が命を失ったことは深刻・遺憾であり、これは全欧州への打撃だ」と強く非難した。極左の暴力を断固として拒否し、政治的対立が暴力に至ることへの危機感を示した発言は、欧州の政治的安定を巡る関心の高さを反映したものと受け止められた。
しかし、マクロン氏は19日、訪問先のインド・ニューデリーで記者団に対し、メローニ氏の発言を暗に批判。「国内問題に他国が口を出すべきではない」と反論した。また「超国家主義者や民族主義者は他国の内政にコメントしがちだが、それに対してフランスは自国の問題を自国で解決する」と発言し、メローニ氏がフランスの政治的事情を正確に理解していないとの認識を示した。マクロン氏の発言がメローニ氏に向けたものかとの質問には「その通りだ」と答えたことから、両国首脳の溝が明確になった。
マクロン氏とメローニ氏の関係はこれまでも、ウクライナ危機やEUの統合政策、国際貿易戦略などを巡って意見が対立する場面があり、今回の事件への対応でも立場の違いが浮き彫りになった。仏政府は国内の政治的暴力に対する非難を表明しつつも、外交的な発言には慎重であるべきだとの立場を取っている。
一方、フランス国内では事件を政治利用しようとする動きも顕著で、極右政党「国民連合(RN)」のバルデラ(Jordan Bardella)党首はマクロン政権とその支持者が極左勢力を増長させたと非難し、「強い反左翼の防衛線を構築する必要がある」と主張した。極左の関与が本当にあったのかを巡る議論が続く中、事件はフランスの政治的分断を一段と深めている。
この事件は単なる刑事事件ではなく、欧州全体の政治的緊張や各国指導者の立場の違いを映し出す象徴的な出来事となっており、今後の政治情勢への影響が懸念される。
