◎プーチン氏は核兵器をちらつかせることでNATOを威嚇し、ウクライナを降伏させようとしている。
ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は30日、ウクライナ南部と東部の4州を強制併合する条約に署名した。
クレムリンで開催された物議を醸す調印式にはウクライナ4州の自称首長も出席し、4州の「ロシア化」を祝った。
ウクライナは条約を却下し、占領地の奪還作戦を継続すると表明。米国は新たな対ロシア制裁を発表し、ウクライナを支援し続けると誓った。
しかし、プーチン氏はウクライナ4州の編入を認めると宣言。「ロシア領への攻撃には容赦なく反撃する」とし、西側を威嚇した。
プーチン氏は核兵器をちらつかせることでNATOを威嚇し、ウクライナを降伏させようとしている。
NATOは併合を非難し、核兵器を使用すれば取り返しのつかない事態になると警告している。
赤の広場で開催されたイベントは愛国心をくすぐる演出を多数盛り込んでいた。参加者はプーチン氏を拍手で迎え、熱狂的な雰囲気の中で国家が演奏された。プーチン氏と自称首長たちは手を取り合い、「ロシア!」と叫び、参加者もそれに応えた。
しかし、「ここはロシアの領土だ」と宣言しても、それが真実であるとは限らない。国際社会は占領地で行われたいわゆる「住民投票」を認めておらず、それは住民投票と呼べるような代物ではなかった。
ロシアは住民投票を行ったと主張し、ウクライナの領土の約15%を併合した。ウクライナはこれを決して受け入れず、国際社会も認めないだろう。
バイデン(Joe Biden)米大統領は29日の演説で併合を非難し、「決して、決して、決して!」と認めないと断言した。国連のグテレス(António Guterres)事務総長もそれを「法的根拠がなく無意味」と一蹴している。
テレグラムには4州のロシア化を祝うコメントが多数寄せられている。ある専門家は、「ロシアの敗北は地球滅亡を意味するため、NATOは手を引かざるを得ないだろう」と主張した。
プーチン氏はウクライナ軍が4州奪還を継続した場合、核兵器の使用も辞さないと警告している。
ロシアは「新領土」に対する攻撃をロシア領への攻撃とみなすとしている。ロシア大統領府は「ロシア軍は自国の領土を守るために、利用可能なあらゆる手段で対応する権利を持っている」と主張した。
プーチン氏はコンサート会場で、第二次世界大戦末期の米軍による日本への原爆投下に言及し、「米国が前例を作った」と指摘した。
一部の専門家は自暴自棄になったプーチン氏が「死なばもろとも」の精神で核兵器を乱発する可能性があると警告している。ロシアの専門家もプーチン氏が無茶をするのではないかと心配している。
ロシアの独立系紙ノーバヤ・ガゼータ欧州は今週、社説の中で「ロシア高官が核の脅威を現実のものにしている」と厳しく非難した。「核のボタンについて話し合うなどあり得ないし、あってはならないし、決して許してはならない」
プーチン氏の演説は反欧米を強く意識し、国民の民族感情と反欧米感情を煽る内容になっていた。
予備役の部分動員に反対するロシア人男性はジョージアやカザフスタン国境に大渋滞を作っている。報道によると、この数日で国外に逃亡した市民は20万人を超え、さらに増え続けている。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は30日、NATOに早期加盟を申請すると表明した。