◎国民投票の結果、有権者の約62%がCOVID-19法の継続を支持した。
11月28日、スイスの有権者はグリーンパスポートシステム(コロナワクチンパス)の導入を含む政府のCOVID-19法を明確に支持した。
スイスの憲法は国民に強い発言権を与えており、国民投票で様々な問題を処理してきた。
今年6月の国民投票では、気候変動対策を強化する政府の法案の是非が問われ、有権者は自動車燃料税と航空券への課税計画を拒否した。
28日の国民投票の結果、有権者の約62%がCOVID-19法の継続を支持した。
<スイスの国民投票 暫定結果 投票率65.7%>
1.看護師の教育と訓練に充てられる予算10億フラン(約1,200億円)の是非。
賛成60.98%ー反対39.02% 継続決定
2.法律を改正し、裁判所の判事を選挙で決めるようにする。(提案)
賛成31.93%ー反対68.07% 却下
3.COVID-19法の是非。
賛成62.01%ー反対37.99% 継続決定
COVID-19法はコロナの影響を受けた個人、企業、そして最前線で働く医療当局者を支援する予算(約9,000億円)を確保し、多くの欧州諸国で採用されているグリーンパスの提示を義務化した。
公共放送SRFによると、出口調査に応じた有権者の多くが、新たなコロナ変異ウイルス「オミクロン株」に懸念を表明したという。政府は27日、新たな感染予防対策と水際対策を準備していると示唆したが、国民投票に影響が出ることを考慮し、対策を強化できずにいた。
アラン・ベルセ保健相は28日、国民投票の結果を称賛し、「当局は新たな対策の準備を速やかに進め、必要に応じて手を打ちます」と述べた。
またベルセ保健相は国民に投票結果を受け入れるよう促し、危機を乗り切るためには団結しなければならないと呼びかけた。「この冬を乗り切るためには、総出で問題に対処しなければなりません。投票結果を尊重し、力を合わせてコロナに立ち向かいましょう...」
選挙管理委員会によると、全国の26州のうち、東部の保守的な農村地域であるシュヴィーツ州とアッペンツェル・インナーローデン準州のみ、反対票が賛成票を上回ったという。
スイスのワクチン接種率は大打撃を受けている隣国オーストリアとドイツとほぼ同じで、EU平均より低い。完全接種率は11月27日時点で人口の約65%、少なくとも1回接種した人は約67%。
国内の陽性者数はこの1カ月で急増し、1日あたりの新規陽性者は5倍以上に増加した。政府の諮問委員会は現在の感染状況について、「オーストリアとドイツの感染拡大に匹敵する第5波に発展する可能性がある」と強い危機感を示している。