◎この計画は、パリ協定に基づくスイスの温室効果ガス削減目標を達成するために役立つと考えられていた。
スイス連邦、アルプスの牧場(suju-foto/Pixabay)

6月13日、スイスで気候変動対策を強化する法案などの是非を問う国民投票が行われ、有権者は自動車燃料税と航空券への課税に関する政府の計画を拒否した。

この計画は、パリ協定に基づくスイスの温室効果ガス削減目標を達成するために役立つと考えられていた。

しかし、一部の有権者や専門家は、「増税はコロナウイルスの影響で深刻なダメージを受けた経済の回復に悪影響を与える可能性がある」と指摘していた。

また別の反対派は、スイスの温室効果ガス排出量は世界の0.1%にも満たないと指摘したうえで、「自動車燃料と航空券に対する増税は無意味」と懸念を表明していた。

スイスの公共放送SRFは13日、「法案は反対51%ー賛成49%で拒否された」と報じた。なお、集計作業はまだ終わっておらず、最終結果は14日午後以降に判明する見込みと伝えられている。

スイス政府は2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年の50%まで削減したいと考えている。地元メディアによると、気候変動対策に関する他の2つの法案も否決される見込みだという。

一方、物議を醸している人口農薬を非合法化する法案と、人口農薬の使用を停止した農家にのみ補助金を与え、地下水の水質を改善するという提案は、どちらも反対61%ー賛成39%で否決されることが確実になった。

人口農薬の非合法化を支持する有権者は、人間、植物、動物、昆虫への影響を懸念している。

しかし、スイスの農作物の大多数を生産する個人農家および企業は、「法案は農業を荒廃させる」と警告していた。

テロと戦う警察により大きな権限を与えるテロ対策法案と、コロナ関連の緊急資金拠出法案は賛成多数で可決された。

スイスの憲法は国民に強い発言権を与えており、国民投票で様々な問題を処理してきた。2009年12月の国民投票ではモスクの塔(ミナレット)の新設を禁止する提案が承認され、イスラム教団体が欧州人権裁判所に異議を申し立てている。なお、政府はこの提案に強く反対していた。

国民投票で提案を審査するためには、10万人分の署名を集める必要がある。スイスの人口は約855万人。

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