◎金融大手UBSは先月、クレディ・スイスを買収することで合意した。買収額は30億スイスフラン(約4300億円)としている。
スイス政府は5日、「金融大手クレディ・スイスの経営陣のボーナスを削減するよう指示した」と発表した。
7人の委員からなる連邦評議会は声明で、「財務省に対し、同行の経営陣らに昨年支給されたボーナスの返還を命じるよう求めた」と述べている。
これにより、約5000万~6000万スイスフラン(約90億円)の賞与が返還されることになる。
金融大手UBSは先月、クレディ・スイスを買収することで合意した。買収額は30億スイスフラン(約4300億円)としている。
この取引から2日後、政府はクレディ・スイスの従業員へのボーナス支給を一時的に停止すると発表した。
クレディ・スイスの経営陣および管理職へのボーナス支給も年内に中止または減額される予定だ。UBS幹部は今後数ヶ月のうちに取引を成立させたいと考えている。
クレディ・スイスは「システム上重要」とされる世界30行のうちの1行である。米国の2行(シリコンバレー銀行とシグネチャー銀行)に続いて同行が破綻すれば世界規模の金融危機に発展しかねないという懸念を受け、救済措置が取られた。
スイス政府はクレディ・スイスの従業員約4万9000人の株式報酬などの繰延変動報酬の総額が6億3500万フランとなり、当初の4分の1にまで落ち込んだと明らかにした。
つまり、クレディ・スイスの株価下落により、全従業員は20億フラン以上の損失を負担することになったのである。
UBSは5日に年次株主総会を開催し、クレディ・スイスの買収に自信を示す一方、リスクがあることを隠さなかった。