◎陸軍は現行法に抵触しない範囲で警察を支援する。
2023年9月29日/スウェーデン、首都ストックホルム、クリステション首相(左)と国家警察の長官(Anders Wiklund/TT News Agency/AP通信)

スウェーデンのクリステション(Ulf Kristersson)首相は29日、全国でギャング間抗争が相次いでいることを受け、陸軍兵士が警察の後方支援に回ると発表した。

それによると、陸軍は近日中に警察の職務の一部を手伝うことになる予定だという。

クリステション氏は記者会見で、「来週中に陸軍による警察支援の詳細を公表する」と述べた。

記者会見に同席した国家警察の長官は「陸軍兵士がギャングを取り締まることはない」と明言した。

スウェーデン通信(TT)によると、陸軍が警察の業務に関与するのは異例。

同国ではギャング間抗争が社会問題になっており、車上荒らし、銃乱射、爆弾テロ、手榴弾などによる攻撃が多発。今月だけで10代の若者や無関係の市民を含む12人が死亡している。

クリステション氏は会見の中で、「警察はギャング以外の案件にも対応しており、支援を必要としている」と説明した。

またクリステション氏は「兵士たちはロシアによるウクライナ侵攻以来、いつどのような事態にも対応できるよう臨戦態勢を維持している」としたうえで、陸軍の銃器や爆発物などに関する専門知識はギャングの取り締まりに役立つと強調した。

TTによると、陸軍は現行法に抵触しない範囲で警察を支援するという。

スウェーデンは長年ギャングによる暴力と闘ってきたが、今月の銃乱射事件と爆弾テロは国民に衝撃を与えた。

ギャングは社会的に不利な立場にある移民居住区で若者を勧誘し、殺人を実行させることが多い。

クリステション氏は移民を含む若者のギャングへの参加を防ぐために、刑法を強化する必要があると述べ、議会に行動を起こすよう呼びかけた。

国家警察の統計によると、昨年発生したギャング関連の銃乱射事件による死者は約70人。今年はこれまでに300件近くの銃撃事件が発生し、約40人が死亡している。

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