◎NATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要。
2022年5月17日/スウェーデン、首都ストックホルム、アンデション首相(左)とフィンランドのニーニスト大統領の共同記者会見(Anders Wiklund/TT News Agency/AP通信)

スウェーデンとフィンランドは17日、NATO加盟に向けた手続きを加速させた。

しかし、北欧2カ国のNATO加盟に反対するトルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、両国がクルド人武装勢力「クルド労働者党(PKK)」への対応やトルコに対する禁輸制裁(武器輸出)などを改めない限り、拒否権を行使すると示唆している。

NATO加盟には現加盟30カ国の合意が必要。

フィンランドのニーニスト(Sauli Niinisto)大統領はスウェーデン首相との共同記者会見で、「エルドアン氏はここ数日で急速に変化し、硬化している。しかし、建設的な話し合いで解決できると確信している」と語った。

フィンランド議会は17日、NATO加盟申請を賛成188ー反対8で採択した。フィンランドとスウェーデンの外相は正式な加盟申請書に署名し、18日にブリュッセルのNATO本部に提出する。

しかし、エルドアン氏は先週、そして16日に異議を唱えた。

またエルドアン氏は、この問題を議論するためにトルコに代表団を派遣するというスウェーデンの提案を却下し、「無駄な時間を取らせるな」と非難した。

スウェーデンのアンデション(Magdalena Andersson)首相は、「スウェーデン政府はトルコとの協議を求めている」と記者団に語った。「我々はトルコとの二国間対話だけでなく、他のNATO加盟国との対話も期待しています...」

トルコとの関係がぎくしゃくしている米国もエルドアン氏の発言に驚いたように見える。米国はトルコがロシアのミサイル防衛システムの購入を決定したことを理由に、F-35戦闘機計画からトルコを除外した。

トルコ外相は先週、ブリンケン米国務長官と会談している。

一方、ホワイトハウスは17日、バイデン(Joe Biden)大統領が19日にニーニスト大統領とアンデション首相と会談し、NATO加盟申請やウクライナへの支援などについて話し合うと発表した。

北欧2カ国のNATO加盟は歴史的の転換点とみなされている。スウェーデンは200年以上にわたって軍事同盟を避け、フィンランドは第二次世界大戦でソ連に敗れて以来、中立の立場をとってきた。

ロシアは両国にNATO加盟は「結果を伴う」と繰り返し警告してきた。

アンデション首相はサイバー攻撃、偽情報の拡散による国内世論の分裂など、ロシアが何かしらの攻撃を仕掛けてくる可能性があると警告している。

ロシア外務省は17日、フィンランドの外交官2人を追放し、バルト海諸国理事会から脱退すると発表した。

一方、欧州当局者はフィンランドとスウェーデンのNATO加盟に対するトルコの反対は克服できると期待を表明した。

EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は17日、記者団に「両国はすべての加盟国から強い支持を受けるだろう」と語った。

ルクセンブルクで長く外相を務めたアッセルボルン(Jean Asselborn)氏はドイツメディアのインタビューの中で、「エルドアン氏は両国に代償を支払うよう求めているのではないか」という見方を示した。「トルコは加盟にブレーキをかけないと思います...」

トルコはテロ組織に指定しているPKK、その他のクルド左翼過激派、米国に拠点を置くイスラム教指導者ギュレン(Fethullah Gulen)師を支援しているいくつかの欧州諸国を非難している。

トルコ法相は17日、「スウェーデンとフィンランドはPKKやギュレンとの関連性を疑われる容疑者をひとりも引き渡していない」と述べた。

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