◎アンダーソン首相は24日、就任から数時間後に党の予算法案が否決され、代わりに野党連合の法案が成立したことを受け、辞任した。
11月29日、スウェーデン初の女性首相である社会民主党のマグダレーナ・アンダーソン前首相が首相に再任した。
アンダーソン首相は24日、就任から数時間後に党の予算法案が否決され、代わりに野党連合の法案が成立したことを受け、辞任した。
野党スウェーデン民主党を含む右派勢力は予算法案を称賛したが、アンダーソン首相はこれを却下し、社会民主党と連立を組む緑の党は「極右の予算を受け入れることはできない」と述べ、連立政権は崩壊した。スウェーデン民主党はネオナチ運動に根ざしている。
現地メディアによると、29日の投票で議員101人がアンダーソン氏の就任に賛成し、173人が反対、75人が棄権したという。結果、「議会の過半数にあたる175人が反対票を投じなかった」ため、アンダーソン氏の再任が決まった。
<スウェーデン議会の勢力 349議席>
◎社会民主党 100議席
・穏健党 70議席
・スウェーデン民主党 62議席
・中央党 31議席
・左党 27議席
・キリスト教民主主義者 20議席
・リベラル 20議席
・緑の党 16議席
・無所属 1議席
アンダーソン首相は再任演説で、「気分良く始めたいと思っています」と語った。「私たちは福祉、気候変動、犯罪防止に焦点を当てた新しい政策でスウェーデンを前進させる準備ができています...」
スウェーデンではここ数年、ギャング関連の組織犯罪が増加しており、今年も主要都市のストックホルム、ヨーテボリ、マルモでギャング間抗争と思われる事件が複数発生した。
アンダーソン首相は「社会民主党の提案に基づいて起草された野党の予算」でスウェーデンを管理すると繰り返したが、政府が改革に費やしたいと考えていた740億クローナ(約9,400億円)のうち約200億クローナ(約2,500億円)は来年度に配分されるため、計画が予定通りに進むかどうかは不透明な情勢である。
予算は気候変動対策、警察官の給与引き上げ、司法制度の改革などに割り当てられる。
中央党のアニー・ローフ党首はスウェーデン初の女性首相を称賛した。中央党の一部議員は投票を棄権している。
現地メディアもアンダーソン首相を称賛したが、混乱は少なくとも来年の議会選挙まで続くと思われると報じた。社会民主党は1党で議会を統治するため、法案の通過に苦労することは間違いない。
アンダーソン首相はウプサラ出身の元ジュニア水泳チャンピオンで、1996年にヨーラン・ペーション首相(当時)の政治顧問としてキャリアをスタートさせ、財務大臣などを歴任し、今月社会民主党の党首に就任した。
一方、社会民主党の前党首であるステファン・ロベーン首相(当時)は今年6月、前例の不信任決議で追放された。
次の議会選挙は2022年9月11日に予定されている。