◎ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領はイラク、シリア、アフガニスタン、アフリカの移民希望者に観光ビザを提供し、隣国のポーランド、リトアニア、そしてラトビアへの不法入国を推奨している。
10月5日、ベラルーシの野党指導者スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏は、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が引き起こした進行中の移民危機を人道的大惨事と呼び、問題の解決に向けた取り組みを支援するよう世界に呼びかけた。
ルカシェンコ大統領はイラク、シリア、アフガニスタン、アフリカの移民希望者に観光ビザを提供し、隣国のポーランド、リトアニア、そしてラトビアへの不法入国を推奨している。
ポーランドに入国を試みた数人が険しい山道と沼地に体力を奪われ死亡した。
ツィハノウスカヤ氏はポーランドの首都ワルシャワで開催された安全保障フォーラムの中で、これから冬を迎えるにあたり、移民希望者が数十から数百人単位で死亡する可能性があると警告した。「ルカシェンコは女性やお腹を空かせている子供に真冬のトレッキングを命じるでしょう。国連と国際社会は人道的大惨事を阻止するために行動しなければなりません...」
しかし、ベラルーシ政府は6日、国境沿いに押し込まれた移民希望者を助けるために人道援助を送るというポーランド政府の申し出を却下した。
ベラルーシ外務省のアナトリー・グラズ報道官は記者団に、「ポーランド政府の申し出はばかげている」と語った。
ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は6日の記者会見でベラルーシ政府に人道支援を促す文書を送ったと述べた。「私たちはベラルーシから送り込まれてくる移民希望者を助けたいと思っています...」
ツィハノウスカヤ氏は安全保障フォーラムに先立ち、アンジェイ・ドゥダ大統領や他の指導者と会談したが、移民希望者の亡命する権利を保障せず人々を国境沿いに追い込んだポーランド政府の対応を批判しなかった。国際法は移民希望者に亡命を申請する権利を保障している。
ツィハノウスカヤ氏によると、ベラルーシにはまだ10,000から15,000人の移民希望者がいて、その数は増え続けているという。
ツィハノウスカヤ氏は昨年8月のベラルーシ大統領選で独裁者のルカシェンコ大統領に立ち向かった主要候補のひとりだった。開票後、ルカシェンコ大統領は野党関係者を弾圧し、ツィハノウスカヤ氏はリトアニアへの亡命を余儀なくされた。
ポーランドとリトアニアは移民をEUに押し込み地域を不安定化させようとするルカシェンコ大統領の試みを「ハイブリッド戦争」と呼び、EUの安全を守るために国境警備を強化し、そこで確保した移民希望者を国境沿いの施設に収容した。
ツィハノウスカヤ氏は演説の中で昨年の大統領選に言及し、「ルカシェンコは民主的なデモを支援した隣国のポーランドとリトアニアに復讐している」と語った。「恥知らずなルカシェンコはベラルーシの野党を保護してくれた隣国をうらみ、傷ついた移民希望者を利用して地域の不安定化を企てています...」