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フランス全土で政府与党に抗議するデモ、圧力高まる

マクロン氏は先週、ルコルニュ氏を首相に任命し、26年度予算案について、政党間の合意形成を直ちに図るよう指示した。
2025年9月18日/フランス、首都パリ、政府与党に抗議するデモ行進(AP通信)

フランス全土で18日、ルコルニュ(Sebastien Lecornu)首相とマクロン(Emmanuel Macron)大統領に抗議する抗議デモや集会が行われた。

パリのデモに参加した女性はAP通信の取材に対し、「うんざり。本当に、本当にうんざりだ」と語った。

別の女性は「この国を統治している連中は現実の問題について何も分かっていない。その代償を払わされているのは私たちだ」と吠えた。

主要な労働組合もこのデモに参加。各地でストライキが行われ、パリ地下鉄や公共バスの一部区間が運行を停止した。

現地メディアによると、一部のデモ参加者が暴徒化し、建物や車に石を投げたり、店舗を略奪したという。機動隊は催涙ガスで応戦した。ケガ人の情報はない。

マクロン氏は先週、ルコルニュ氏を首相に任命し、26年度予算案について、政党間の合意形成を直ちに図るよう指示した。

少数与党を率いるルコルニュ氏は野党の支持を必要としている。

デモ隊はマクロン政権の政策が富裕層を潤し、人口の大多数を占める低中所得者層を罰していると主張。今すぐ議会を解散し、総選挙を行うよう呼びかけた。

ルコルニュ氏は現在、予算案への支持を得るため、幅広い政党の指導者と協議を重ねている。

国民議会(下院、定数577)は先週、バイル(Francois Bayrou)前首相の信任決議案を反対多数で否決。これにより、9ヵ月前に発足したバイル政権は崩壊し、マクロン氏は新たな首相を任命するか、議会を解散するかの選択を迫られていた。

バイル氏は債務抑制のために公共支出を大幅に削減すべきだという自身の見解を野党議員も支持すると信じたが、賭けは失敗に終わった。

フランスの財政は政府の支出と歳入を調整するために複雑な仕組みを持っている。主な収入源は税金で、特に消費税(TVA)や所得税、企業税が大きな割合を占めている。また、フランスはEUの一員として、EUの財政規律に従い、公共部門の赤字をGDPの3%以内に抑えることを求められている。しかし、近年の財政赤字はこの基準を超えており、経済成長が低迷する中で政府は財政健全化を目指している。

フランス政府の支出は社会保障や公共サービスへの支出が中心で、特に年金や医療費の負担が大きい。これにより、社会保障費は国家予算の大部分を占め、財政の安定性にとって大きな課題となっている。加えて、政府は教育、インフラ整備、防衛などにも多額の予算を投じており、これが財政的な圧力を生んでいる。

また政府は国債を発行して資金調達を行っており、国債の発行額が増加している。これにより、利子負担が増し、将来の財政運営に影響を及ぼす可能性がある。政府はこれらの課題に対応するため、税制改革や支出の見直しを進めているが、政治的な調整が必要となるため、改革には時間がかかると見込まれている。

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