スペイン不法移民統合計画、行政サービスに負担集中、詳細不明で混乱
この恩赦計画は近年の経済成長を支えた包括的な移民政策の延長と位置付けられている。
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スペイン政府が計画している移民統合計画が、始まる前から行政サービスに深刻な負担をかけ、申請希望者を混乱させている。サンチェス政権は4月から6月にかけて、少なくとも50万人の不法移民に対して合法的な滞在資格を早期に取得させる方針を示しているが、具体的な手続きや必要書類についての情報がほとんど提供されず、現場で混雑が生じているという。
この計画は近年の経済成長を支えた包括的な移民政策の延長と位置付けられている。しかし政府はこの新たな制度のための追加予算や人員を確保しておらず、既存の移民局は2025年中頃から滞留している案件の処理に追われている状態だ。移民局労組のセサル・ペレス(César Pérez)委員長はロイター通信の取材に対し、「事務所は完全に詰まっている。追加の人手や技術的支援、予算がなければ追加処理など不可能だ」と述べ、現場は深刻な状況にあると訴えた。
政府は1月に恩赦制度の概要を示す文書を公表したが、2月18日付の政令草案でも優先的かつ特別な手続きが設けられるとするのみで、詳細は明らかにしていない。複数の政府関係者は「最終的な政令は調整中」と述べているが、申請を希望する移民や職員側の不安は高まっている。
計画の対象となる条件として、犯罪歴が無く、5カ月以上連続してスペインに居住していること、または2025年末までに亡命申請をしていることなどが提示されているが、どの書類が有効なのかは明確でない。申請希望者は情報を求めて移民局に長い列を作る一方、地域のNGOに頼るケースも多い。37歳のペルー人女性イリス・ロチャ(Iris Rocha)さんはバルセロナでNGOの説明会に出席し「どの条件を満たす必要があるかまだ分からない。求められる書類を用意できないかもしれない」と不安を示した。ロチャさんは2023年に子供を連れてスペインに逃れ、昨年一時労働許可を失い、合法的な職につけずにいるという。
サンチェス(Pedro Sánchez)首相は先月、申請書類を提出してから15日以内に処理が開始されれば、申請中でも合法的に働ける可能性があると述べていた。しかし長年にわたり制度上の遅延が続いているとの指摘も強い。地元のシンクタンク「Funcas」によると、移民が合法的な滞在資格を得るまでには平均2〜3年を要し、その間に約84万人の不法移民が正式な雇用の外で働いているとされる。
このため専門家や移民支援団体は、申請プロセスの不透明さと行政体制の不足が恩赦の成功を阻む恐れがあると警鐘を鳴らす。すでに一部の申請希望者は4月の申請枠を確保するために違法な仲介業者に支払いをしているという。政府も2025年11月にこの問題を認め、予約枠不足が原因だと説明しているが、こうした状況は移民側の不安をさらに助長している。
この計画が経済的・社会的に重要であるとの声は強いものの、実施前の準備不足が制度そのものの信頼性を問う事態となっている。政府は関係団体と調整を進めるとともに、申請プロセスの円滑な実行に向けて準備を急ぐ必要に迫られている。
