◎羊たちは「メェー」「アオー」「バァーー」などと鳴きながらマドリードを占拠した。
スペインの首都マドリードで23日、移牧祭りが行われ、約1200頭の羊と約200頭のヤギが市中心部を我が物顔で練り歩いた。
移牧祭りは北部の羊飼いが冬を前に行う伝統行事のひとつ。温暖な南部の牧草地を目指して数千頭の羊とヤギが国を縦断することと、移牧の文化を知ってもらい羊飼いの保護につなげることを目的としている。
羊たちは「メェー」「アオー」「バァーー」などと鳴きながらマドリードを占拠した。
地元メディアによると、主催者はマドリードを横断するにあたり、政府に通行料を支払っているという。マドリード市は1418年に羊飼いたちと交わした協定に基づき、50マラベディ(当時の通貨)を受け取る。
市民は羊の群れと羊飼いに歓声を送った。
マドリードはこの羊祭りを1994年から開催している。イタリア、フランス、米カリフォルニア州などでも同様の祭りが開催されている。
地元メディアによると、スペインで移牧を行う牧場は年々減少しているという。
主催者は持続可能性、文化的価値、羊が移動する地域は山火事が起こりにくいという環境保護などの利点から、移牧を推進している。