◎抗議者たちはスペインの君主制を侮辱し、テロリストを称賛した人気ラッパーが有罪判決を受けたことに憤慨し、路上の車を爆破した。
2月18日、スペインのバルセロナで勃発した抗議活動は3日目を迎えた。警察によると、一連の抗議で逮捕された者は80人に達したという。
抗議者たちはスペインの君主制を侮辱し、テロリストを称賛した人気ラッパーが有罪判決を受けたことに憤慨し、路上の車を爆破した。
今週から北東部の刑務所で刑に服し始めたパブロ・ハーゼル受刑者は、スペインの言論の自由の限界をめぐる激しい議論を巻き起こし、支持者らによる抗議は広範な暴力に発展した。
ハーゼル受刑者は警察の出頭要請を拒否し、2月16日に逮捕された。
極左政党のユナイテッド・ウィー・カンはハーゼル受刑者ともう一人のラッパー、ヴァルトニックに恩赦を与える請願書を2月18日に政府に提出した。
ユナイテッド・ウィー・カンのスポークスマンは声明で、「党は二人のラッパーに対する緊急かつ完全な恩赦を要求します」と述べた。なお、恩赦を与えるためにはペドロ・サンチェス首相と議会の承認を得なければならない。
一方、カタルーニャの裁判所は書簡で、「ハーゼル受刑者は2017年に犯した罪(司法妨害と暴行)でも起訴され、2年半の懲役刑を科せられる可能性がある」と述べた。
この日の抗議活動は、カタルーニャ州のいくつかのエリアで決行された。州都バルセロナの繁華街に集まった数百人は大声で歌い、一部の者は「パブロ・ハーゼル・自由!」「スペイン・メディア・情報操作!」などとラップ調で抗議した。
その後、勢いに乗った一部の抗議者はバリケードを設置し、近づいてくる警察に石、ビン、その他様々な物体を投げつけた。
抗議者たちは、フアン・カルロス1世を嘲笑するラップを書いたハーゼル受刑者の逮捕および起訴は言論の自由の侵害だと主張している。
政府当局者によると、東部バレンシアでは少なくとも8人が逮捕されたという。
一部の抗議者は首都マドリードを含むいくつかの都市の店舗や銀行を襲撃した。
カタルーニャ州の警察当局は記者団に対し、抗議者のひとりが警察の攻撃で片目の視力を失った可能性があるとして、内部調査を開始したと述べた。
ハーゼル受刑者の窮状は、他の批判的なアーティストやソーシャルメディアに悪質な投稿をした者が裁判にかけられたことでかなりの注目を集めた。物議を醸したスペインの公安法(2015年施行)は人権団体に非難されているが、政府は違憲ではないと反発している。
ラッパーのヴァルトニックも公安法に違反した罪で逮捕される予定だったが、2018年5月にベルギーに逃亡した。スペイン当局は容疑者の身柄の引き渡しをベルギー当局に求めたが、紆余曲折の末、拒否されている。
サンチェス首相率いる社会労働党は声明で、「ユナイテッド・ウィー・カンは2015年の公安法(刑法改正)に合意したが、各地で発生した暴力は非難しなかった」とユナイテッド・ウィー・カンを非難した。
カルメン・カルボ副首相も一連の暴力とユナイテッド・ウィー・カンを非難したうえで、「表現の自由のために戦っている反ファシスト抗議者を支持するべきではない」と述べた。