◎指導者たちは2017年の違法なカタルーニャ独立住民投票を主導した罪で実刑判決を受け投獄されていた。
6月22日、スペイン政府は2017年のカタルーニャ独立住民投票を主導し有罪判決を受けた9人の指導者を正式に赦免した。
指導者たちは2019年に扇動罪で実刑判決を受け投獄された。同じく住民投票に関与した別の指導者3人も不服従の罪で有罪判決を受けたが、実刑は免れた。
違法な住民投票を主導した分離主義者に対する恩赦は物議を醸し、全国規模の抗議活動に発展した。しかし、スペイン政府は、「恩赦はカタルーニャをめぐる緊張を和らげ、スペイン国民を一致団結させる」と主張し、恩赦を擁護した。
カタルーニャ独立運動はスペインをフランコ独裁政権以来の危機に陥れた。
ペドロ・サンチェス首相は22日のテレビ演説で、「対話と和解の新時代を切り開き、すべての分裂と対立を終わらせたい」と語った。「恩赦はカタルーニャならびにスペインにとって最良の決定であると判断し、法案に署名しました...」
AP通信の取材に応じた政府高官によると、フェリペ6世の署名と官報への掲載は速やかに完了する予定で、指導者たちは23日に釈放される可能性が高いという。
オリオル・ジュンケラス元副州首相を含む州の元閣僚たち、議会議長、市民社会グループの指導者2人は、懲役9年~13年の実刑判決を受けていた。なお、恩赦で残りの刑期は免除されたが、公職に就くことを禁じる期間(日本の公民権停止)は維持されるという。
投獄された9人のうちの1人、ラウロ・ロメバ元州外相はツイッターに、「政府は抑圧を続けるだろう」と投稿した。「私たちは諦めません...」
一方、マドリード地域の中道右派、イザベル・ディアス・アユソ議員は声明で、「屈辱的な政府の決定を覆す」と誓った。「恩赦は団結ではなく、分離主義と分裂を促します。私たちは上訴するでしょう...」
エル・ムンド紙が行った最新の世論調査によると、回答者の約61%が恩赦に反対したという。首都マドリードなどでは反対派による大規模な抗議活動が行われた。
マドリードの抗議活動に参加したホルヘ・ブランコ氏は英BBCニュースの取材に対し、「恩赦は民主主義を不安定にし、スペインを分裂させます」と述べた。「分離主義者に対する恩赦は危険な前例になると心配しています。他の地域でもカタルーニャのような独立運動が発生するかもしれません」
最高裁判所も先月発行した拘束力のない書簡の中で、恩赦に反対すると述べていた。
カタルーニャ州のペレ・アラゴネス州首相は22日、「政府は恩赦を発行することで、指導者たちに対する起訴は間違っていたと認めました」と述べた。「自己決定の時がきました。政府は独立の是非を問う住民投票の実施を認めなければなりません...」
スペイン政府は独立住民投票の検討を拒否しており、代わりに、新たな自治のあり方を確立したいと考えている。
一方、独立を支持するカタルーニャ州の一部の住民は、「指導者たちはそもそも有罪判決を受けるべきではなかった」と主張した。
ロイター通信の取材に応じた教師のジェセップ・サニエ氏は、「恩赦は不十分」と述べた。「指導者たちは残りの刑期を免除されましたが、選挙にはまだ立候補できません。不十分です」
裕福なカタルーニャ州の独立をめぐる緊張は、景気後退による経済的困難と保守的な政府の自治権の拡大に対する不満の中、約10年前に本格的に高まった。
最高裁判所は当時、住民投票は違憲と判断したが、指導者たちは2017年10月に一方的に独立宣言を可決した。独立反対派の労働組合員は投票をボイコットし、警察は投票自体を阻止するために取り締まりを行い、州都バルセロナは大混乱に陥った。
地元メディアによると、カタルーニャ州の有権者の約半数が独立を支持し、残りの半数(主に労働組合員)は現状維持を支持しているという。