スロバキア全土で反政府集会、与党の予算案に抗議
スロバキアの財政状況は近年の高い財政赤字と増加する公的債務により、持続可能性への懸念が高まっている。
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スロバキアの首都プラチスラバで23日、フィツォ(Robert Fico)首相に抗議する野党集会が開かれ、数千人が参加した。
デモ隊は政府与党が最近閣議決定した緊縮予算案を非難。フィツォ氏に解散総選挙を要求した。
現地メディアによると、ブラチスラバを含む19の都市・町で集会やデモ行進が行われたという。
政府は財政赤字を削減するためにこれらの措置が必要だと強調。財政赤字は今年もGDP比で5%を超え、EUが求める上限3%を大幅に超過する見通しだ。
野党、地元企業、労働組合、活動家たちはこの予算案を非難し、低所得者層への支援を拡充するよう訴えている。
この予算案には医療・社会保険料の引き上げ、高所得者層の所得税増税、一部食品への付加価値税(VAT)導入・引き上げ、最大3つの祝日廃止の可能性が含まれている。
デモを主催した3野党は共同声明で、フィツォ氏に引退を勧告。今すぐ議会を解散するよう求めた。
スロバキアの財政状況は近年の高い財政赤字と増加する公的債務により、持続可能性への懸念が高まっている。
2024年、スロバキアの一般政府の財政赤字はGDPの5.27%に達し、前年の5.19%からわずかに拡大した。これは、EUの3%の上限を大きく上回っており、EU加盟国としての財政規律に対する懸念を呼んでいる。赤字の主な要因は、軍事装備の調達の遅れや、予算見積もりを上回る歳入の増加によるものである。歳入の増加は、排出権取引市場の好調や、国営企業からの配当金の増加、年金制度改革による第二柱年金拠出の削減、健康保険料の引き上げなどが寄与している。
一方、2024年末時点での公的債務は776億5000万ユーロ、GDP比で59.3%となっており、前年の55.6%から増加している。国際通貨基金(IMF)は2025年には60.3%、2026年には63.0%に達すると予測しており、財政赤字の継続が債務の増加を招く可能性がある。
政府は2025年の財政赤字をGDPの5.0%に削減することを目標としており、増税や歳出削減を含む1.4億ユーロ規模の財政再建策を提案している。具体的には、甘味飲料やタバコ製品への課税強化、付加価値税の引き上げ、国家公務員の削減などが検討されている。しかし、これらの措置に対しては、国民や野党からの反発が強く、9月には全国規模での抗議デモが行われ、政府の経済政策に対する不満が表面化した。