◎フィツォ氏の左派政党スメルは昨年9月の議会選で第1党に躍進。左派政党フラスと超民族主義・親ロシア政党と連立を結んだ。
2024年3月27日/スロバキア、首都プラチスラバ、政府与党の公共放送見直し計画に抗議する集会(AP通信)

スロバキアの首都プラチスラバで27日、政府与党による公共放送見直し計画に抗議する集会が開かれ、数百人が参加した。

デモ隊は公共放送RTVSの本社前で人間の鎖を作り、フィツォ(Robert Fico)首相に抗議した。

政府与党が起草した改正案によると、RTVSは新しい組織に生まれ変わる。その最終決裁権を持つ評議会の委員7人は政府が選出する。

評議会は番組ディレクターを選出し、理由を示さずに解任できる権限を持つ。

この乗っ取り計画は偽情報を流すことで知られる地元のインターネットテレビ局に勤務したことがあるマルティナ(Martina Šimkovičová)文科相が起草した。

チャプトバ(Zuzana Caputova)大統領、野党議員、地元メディアのジャーナリスト、EUの執行機関である欧州委員会の高官などが改正案に懸念を示している。

デモに参加した野党議員はRTVSの取材に対し、「政府がRTVSを手中に収め、親ロシアのプロパガンダマシンに変えようとしている」と非難した。

国内のジャーナリストの大半もこの計画を「とんでもない乗っ取り」と非難。報道の自由が脅かされていると警鐘を鳴らしている。

フィツォ政権はウクライナ支援を凍結するなど、EUの親欧米路線に反旗を翻し、ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相と共にロシア寄りの姿勢を示している。

マルティナ氏は「RTVSの報道が偏っており、主流派の意見ばかり伝え、それ以外の情報を検閲している」と主張。RTVSはこれを「とんでもない言いがかり」と否定している。

改正案が成立すれば、RTVSは全く新しい組織体制となり、政府と議会の承認を受けた委員7人が最終決裁権を握ることになる。

ジャーナリストたちは政府に批判的なディレクターが解雇されたり、政府を批判するニュースや番組が作りにくくなると警告している。

デモ隊は「RTVSから手を放せ」と書かれた横断幕を掲げ、国内外のメディアに向かって「私たちはあなたの味方だ」と唱和した。

今月初めにも同様のデモが行われている。

フィツォ氏の左派政党スメルは昨年9月の議会選で第1党に躍進。左派政党フラスと超民族主義・親ロシア政党と連立を結んだ。

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