セルビアで反政府デモ続く、国家転覆計画で6人逮捕、緊張高まる
セルビアでは北部ノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
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セルビアの捜査当局が国家転覆を企てたとして、6人を逮捕した。国家警察が26日、明らかにした。
それによると、6人は憲法秩序と安全保障を脅かし、暴動を呼びかけた罪に問われているという。
首都ベオグラードの警察は25日夜に6人を逮捕したと明らかにした。
警察は今週初めにも暴動を呼びかけたとして、テロ等準備罪で大学生1人を逮捕。ベオグラードでは26日、この逮捕に抗議するデモが行われ、数百人がブチッチ政権に退陣を求めた。
逮捕された6人の身元と認否は明らかになっていない。
警察によると、6人は先週、市内のホテルで会合を開き、政権を打倒する方法などについて協議したとされる。
AP通信は6人の中に野党関係者や退役軍人が含まれていると報じた。
セルビアでは北部ノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。
ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は全国の大学に授業の再開と、デモに参加した大学関係者を解雇するよう要求している。
ブチッチ氏寄りの国営メディアはデモ隊を「外国勢力」「テロリスト」などと呼び、市民に参加しないよう呼びかけてきた。
デモ隊はベオグラードで28日にデモ行進と集会を行う予定である。
デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修がおろそかになったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めてきた。
これに対しブチッチ氏は学生や大学教授たちが西側諸国と連携して国家転覆を企てていると主張している。
セルビアはEU加盟を目指す一方、中国やロシアとの関係を強化し、西側の対ロシア制裁にも参加していない。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。