◎コソボは2008年にセルビアからの独立を一方的に宣言した。西側諸国の大半は独立を承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国はこれを認めていない。
セルビアの首都ベオグラードで24日、西側諸国が提案したコソボ問題の解決策に抗議する集会が開かれ、数百人がブチッチ政権に退陣を要求した。
デモ隊は「米国と国交断絶」「くたばれNATO」「ブチッチ辞任」などと書かれた看板を掲げ、米国とEUが提案した和解計画に不満を表明した。
コソボは2008年にセルビアからの独立を一方的に宣言した。西側諸国の大半は独立を承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国はこれを認めていない。
コソボ紛争(1998~99年)の死者数は1万3千人と推定されている。セルビア軍によるアルバニア系住民の弾圧は国際的な批判を引き起こし、NATOは紛争を終わらせるためにセルビアを空爆した。
米国とEUは紛争解決を目指し、各国の関係者や関係機関と協議を進めている。
AP通信によると、ベオグラード以外の都市でも小規模な集会が開かれたという。
コソボ国民の大半はアルバニア系住民であり、西側の提案をおおむね歓迎している。
欧米の計画はセルビアとコソボの承認が得られなくても関係を正常化することを想定している。セルビアはコソボの国際機関への加盟を認め、コソボはセルビア系少数民族が暮らす地域の自治を認めるとしている。
西側はロシアがウクライナ侵攻から西側の目をそらさせるために、セルビアの右翼を支援し、コソボ問題を再燃させるようとしていると懸念。問題解決への努力を強化している。
一方、セルビアの民族主義者たちはこの計画を承認すれば、コソボの独立を事実上認めることになると非難。ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に計画を拒否するよう求めている。
EUはコソボ問題が前進すればセルビアのEU加盟交渉も前進すると主張している。コソボは国連とEU加盟を望んでいるが、実現させるためにはセルビアとの和解が欠かせない。
ブチッチ政権はEU加盟を目指す一方、ロシア・中国寄りの政策を取り、有権者の大多数はこの政策を支持しているようにみえる。
セルビアは欧州で唯一、西側の対ロシア制裁に参加していない。