▽セルビアでは昨年11月から政府与党とノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
セルビアの首都ベオグラードと北部ノビサドで1月31日、政府与党に抗議するデモが行われた。
ベオグラードの学生ユニオンの代表ら数百人のグループは2日間かけてベオグラードからノビサドまで徒歩で行進。2月1日にノビサドの駅前で集会を開く予定だ。
各地のデモ隊は1日にドナウ川にかかる3つの橋を封鎖するとしている。
セルビアでは昨年11月から政府与党とノビサドの駅天井崩落事故に抗議するデモが全国各地で行われている。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ノビサドの事故は市中心部の鉄道駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む15人が死亡、2人が重傷を負った。
この駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
ブチェビッチ(Milos Vucevic)首相は今週、対話に応じるようデモ隊に求め、辞任した。
野党は広範な汚職とずさんな改修計画が事故を招いたとして、ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領に辞任を要求している。駅の落成式には多くの政府高官が出席していた。
ノビサドの市長も1月28日に辞任した。
ノビサドの市民は31日、ドナウ川に架かる橋に赤い絨毯を敷き、ベオグラードのデモ隊を歓迎。学生たちは橋を通って地元の学生ユニオンと合流した。
2月1日の橋封鎖は事故発生から3カ月に合わせて行われる予定だ。
ノビサドとベオグラードの学生たちは15人の犠牲者の名前を記した花輪を持ち、31日の夕方、駅舎に向かった。
一方、ベオグラードでは31日、デモ隊の列に車が突っ込み、近くの精神科病院で医師ら2人が負傷した。AP通信によると、2人は歩道で頭を打ち、病院に搬送されたという。
デモ隊に車が突っ込む事件はこの数週間で3度目。学生ユニオンは政府を支持する市民が嫌がらせの一環として、暴力的な手段を採用していると非難している。
デモ隊を「外国勢力のスパイ」と呼んでいる公共放送RTSはこの事件を報じていない。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めている。
ブチッチ氏はデモ隊を「外国勢力」と呼び、RTSもデモ隊が外国勢力から報酬を得ていると主張。「国家転覆を企てている」と連日放送してきた。
一部の専門家はブチッチ氏の背後にロシアがいると主張。ブチッチ氏はEU加盟を目指しているにもかかわらず、ウクライナ戦争における西側の対ロシア制裁に参加しておらず、中立を維持している。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。