セルビア首都で反政府集会、ブチッチ政権に解散総選挙要求

セルビアでは北部ノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
2025年6月28日/セルビア、首都ベオグラード、ブチッチ政権に解散を求めるデモ(AP通信)

セルビアの首都ベオグラードで28日、ブチッチ政権に退陣を求める集会が行われ、数万人がシュプレヒコールを上げた。

デモ隊はブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領の辞任と解散総選挙を求めて市内を行進、市中心部の広場に集まった。

警察は政府機関、国会、広場近くの公園に機動隊を多数配置。付近の道路では全国から集まったブチッチ支持者が国旗を掲げ、デモ隊を「テロリスト」と呼んだ。

セルビアでは北部ノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。

この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。

ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。

このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。

この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。

ブチッチ氏は全国の大学に授業の再開と、デモに参加した大学関係者を解雇するよう要求している。

ブチッチ政権は2027年に任期満了を迎える。同年には議会選挙も予定されている。

野党はブチッチ政権が組織犯罪とつながり、対立勢力への暴力やメディア規制を推進していると主張。与党はこれを否定し、野党が国家転覆を企てていると主張している。

デモ隊は非暴力を誓い、参加者に平和的に抗議するよう呼びかけてきた。

ブチッチ氏は解散の可能性を否定。与党・セルビア進歩党(SNS)主導の連立政権は250議席中156議席を保持している。

デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修がおろそかになったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めてきた。

これに対しブチッチ氏は学生や大学教授たちが西側諸国と連携して国家転覆を企てていると主張している。

セルビアはEU加盟を目指す一方、中国やロシアとの関係を強化し、西側の対ロシア制裁にも参加していない。

政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。

検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。

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