◎セルビアはロシアのウクライナ侵攻を非難せず、西側の対ロシア制裁にも加わっていない。
セルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は29日、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領と電話会談を行い、新たな天然ガス取引を確保したと発表した。
ブチッチ氏はロシアのウクライナ侵攻を非難せず、西側の対ロシア制裁にも加わっていない。
地元メディアによると、このガス契約はラブロフ(Sergei Lavrov)外相のセルビア訪問時に締結される可能性が高いという。ラブロフ氏は6月初旬に訪問する予定。
ブチッチ氏は記者団に対し、「プーチン大統領にできるだけ早く平和が確立されることを望むと伝えた」と語った。
またブチッチ氏は新たなガス取引を称賛し、「それはセルビアにとって、非常に有利な契約になるでしょう」と喜びを語った。
セルビアはEU加盟国を経由してロシアの天然ガスを輸入してため、EUが輸入禁止に踏み切った場合、セルビアはガスを受け取れなくなる可能性がある。
ロシア国営ガスプロム社はポーランド、ブルガリア、フィンランドへのガス輸送を停止している。
EUの執行機関である欧州委員会は30日から始まる首脳会議でロシア依存から抜け出す方法を提案する見込みである。会議にはウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領もオンラインで参加する予定。
ブチッチ氏はEU加盟を求める一方、対ロシア制裁にも不満を持っている。セルビアの独立系メディアは親ロシア議員の発言を引用し、「ブチッチ政権はEU加盟という目標を捨てる可能性がある」と報じている。
国内世論もブチッチ氏の親ロシア政策を支持しているように見える。
最新の世論調査によると、回答者の大多数がEUよりロシアとの関係を優先すべきと回答したという。
親ロシア議員のひとりであるブリン(Aleksandar Vulin)内相は29日、「自由な指導者、自由な国民はセルビアにとって良い決断をし、西側の命令は受け入れない」と語った。