セルビア全土で反政府集会、ノビサド駅の事故から7カ月
セルビアではノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
.jpg)
セルビアの首都ベオグラードで1日、政府与党に抗議するデモが行われ、数千人が市内の複数の幹線道路を封鎖した。
デモ隊は北部ノビサドで昨年11月に発生した駅崩落事故の犠牲者を悼み、正義を追求すると誓った。
セルビアではノビサド駅の事故以来、政府に抗議するデモが全国各地で行われている。
この事故はノビサド駅の入り口で24年11月1日に発生。コンクリート製の天井が突然崩落し、6歳の少女を含む16人が死亡した。
ノビサド駅は1964年に建設され、近年2度改修工事が行われたものの、崩落した天井は工事に含まれていなかった。直近の工事は中国の国営企業が請け負っていた。
このデモは各地の学生ユニオンが主催。多くの学生が講義をボイコットし、政府に説明を求めるため、デモに参加している。
この結果、国内のほぼ全ての大学が閉鎖される事態となった。
ブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領は全国の大学に授業の再開と、デモに参加した大学関係者を解雇するよう要求している。
現地メディアによると、少なくとも30の都市・町で反政府集会が開かれたという。
ベオグラードのデモ隊は市中心部の橋や幹線道路を数時間封鎖した。
デモを主催する学生ユニオンは声明で、「沈黙しない。屈服しない。セルビア全体が立ち上がる」と述べ、ブチッチ政権に改めて退陣と早期選挙を要求した。
国営メディアは1日、ベオグラードの封鎖を「テロ」と呼び、「参加したのはごく少数の過激派である」と虚偽の情報を流した。
セルビアのほとんどの地元メディアが政府与党の管理下にあり、しばしば反対者を罵倒したり、反国家的な活動を行っていると報じている。
デモ隊は汚職、怠慢、安全規制の無視が横行した結果、ノビサド駅の改修がおろそかになったと主張し、ブチッチ氏に責任を取るよう求めてきた。
これに対しブチッチ氏は学生や大学教授たちが西側諸国と連携して国家転覆を企てていると主張している。
セルビアはEU加盟を目指す一方、中国やロシアとの関係を強化し、西側の対ロシア制裁にも参加していない。
政府与党は過去の抗議デモを鎮めることに成功してきたが、現在の学生運動は農業組合、教職員、看護士、弁護士、医師、裁判官、俳優など、あらゆる階層から広く支持を集めており、収まるどころか勢いを増しているように見える。
検察は昨年末、駅崩落に関連してベシッチ(Goran Vesic)前建設相を含む13人を起訴した。13人は公共の安全に対する重大な犯罪行為と公共工事で不誠実な対応をした罪に問われている。有罪が確定すれば、12年以下の懲役刑に処される可能性がある。