◎米国は現時点でウクライナに186億ドル相当の軍事支援を約束している。
フィンランドのマリン(Sanna Marin)首相は2日、欧州はロシアによるウクライナ侵攻に単独で立ち向かえるほど強くなく、米国の支援に頼らざるを得ないという見解を示した。
マリン氏は訪問中のオーストラリアで記者団の取材に応じ、欧州の防衛力を強化する必要があると呼びかけた。
フィンランドとスウェーデンは今年、NATOに加盟を申請した。
マリン氏は進行中のエネルギー危機を念頭に置き、「米国の支援がなければ大変なことになる」と指摘した。「正直に言うと、今の欧州はウクライナ侵攻に単独で立ち向かえるほど強くありません...」
米国は現時点でウクライナに186億ドル相当の軍事支援を約束している。
ドイツのキール世界経済研究所(IfW)によると、第2の支援国はEUで、イギリスがそれに続く。しかし、その規模は米国に比べれば微々たるものである。
また、ウクライナに兵器や弾薬を供与した結果、EUの軍備は枯渇し、最悪の事態に対処できないのではないかという懸念が広がっている。
マリン氏はシドニーのシンクタンクが主催するイベントで講演し、「欧州の防衛力を強化するためにもっと努力する必要がある」と述べた。
またマリン氏は、「米国はウクライナに大量の武器、資金、人道支援を送ったが、EUの支援は足りず、疲弊している」と指摘した。
マリン氏は「欧州の防衛力、防衛産業、様々な状況に対応できる能力を構築する努力を加速させる必要がある」と述べた。
トランプ(Donald Trump)前米大統領は在任中、NATOに加盟する欧州諸国の防衛費に何度も苦言を呈していた。
米国はGDPの3.7%強を防衛費に費やしていると推定されている(2020年)が、NATOの欧州加盟国およびカナダの平均は1.8%ほどである。
2月の開戦以来、多くのEU・NATO加盟国が防衛費を増額すると表明している。ドイツ政府はGDPの2%を目指すと約束した。イギリス政府は6月、10年後の防衛費をGDPの2.5%にすると発表した。
NATOによると、加盟国の軍事的即応性を確保するためには、すべてのNATO加盟国が2%を拠出する必要があるという。また、防衛費をGDPの3%に引き上げるよう求める声も出ている。
ロシアと長い国境を接するフィンランドは5月にNATO加盟を申請。7月に加盟議定書に調印したが、現加盟30カ国による批准手続きは終わっていない。