◎ロシア国内ではプーチン大統領が近いうちに戒厳令を出すという噂が広がっている。
ロシア当局の圧力に直面している英BBCニュースによると、多くのロシア人が隣国フィンランドに向け移動しているという。出国者の規模はウクライナに比べるとはるかに少ないが、一部の国境検問所はひどく混雑していると伝えられている。
ロシアの連邦議会は4日、ウラジーミル・プーチン大統領の意にそぐわない報道をしたジャーナリストに懲役15年以下の懲役を科し、戦場に送り出す法案を可決し、国内外のメディアに圧力をかけた。
また政府はツイッターとフェイスブックをブロックし、西側の情報を完全に遮断しようとしている。
ロシア国内ではプーチン大統領が近いうちに戒厳令を出すという噂が広がっている。
当局は欧州へのフライトをすべて停止しているため、国外に脱出したい人は車もしくは鉄道を利用するしかない。
EUの制裁が発動する前にEUのビザを取得していた女性はBBCのインタビューの中で、「絶望しています」と語った。「ウクライナの人々は私たちの仲間であり、家族です。彼らを殺さないでください」
女性はロシアに戻るつもりでいるかという質問に「無理」と答えた。「あり得ません。血みどろの恐ろしい政府がいる限り、戻るなんてあり得ません。とても悲しいです...」
また女性は、ほとんどのロシア人は戦争など望んでいないが、プーチン大統領に立ち向かえば刑務所に送られるか殺されるため、怖くて抵抗できないと語った。
ロシアと国境を接するフィンランド人も恐怖におののいている。
フィンランドのメディアが行った最新の世論調査によると、回答者の大多数がNATO(北大西洋条約機構)への加盟に賛成し、同じく大多数が「NATOの保護下に入る時が来たと確信している」と回答したという。
しかし、フィンランドのあるツイッターユーザーは、「NATOに加盟申請を出せば、プーチンに侵攻の口実を与えることになるだろう」と投稿した。
サンクトペテルブルク発ヘルシンキ行きの列車は連日満席で、BBCによると、チケットの値段が高騰しているという。
ロシアの銀行はルーブルの暴落を受け、預金の引き出しを制限しており、亡命希望者が持ち出せる現金は限られている。列車を待っていた男性はAP通信の取材に対し、「ルーブルはいつ紙くずになりますか?」と逆質問した。「ロシアにとどまれば戦争に巻き込まれます。私はプーチンが死ぬまで戻りません」
ロシア政府、銀行、富裕層に対する経済制裁の影響を最初に受けるのはプーチン大統領や軍の指導部ではなく市民である。
国内の反戦抗議デモは一部の市民だけでなく企業の間でも広がっている。
ロシア最大の国営石油会社ルクオイルは公式に侵攻の停止を求めた。ロシア経済の主役が反旗を翻したことでプーチン大統領にかかる圧力はさらに強まると期待されている。ただし、戒厳令が発動されれば、事態は急速に悪化する可能性がある。
プーチン大統領はエマニュエル・マクロン仏大統領との電話会談の中で、「ウクライナ全土を占領するまで攻撃をやめない」と明言している。仏大統領府は会談後の声明で、「事態は大幅に悪化する可能性がある」と警告し、原発が攻撃を受けた。
一部の陰謀論者はプーチン大統領を追い詰めすぎると「終末戦争」に発展する可能性があると警告している。
西側諸国の専門家はロシアがウクライナに核兵器を撃ち込む可能性はないと信じているが、経済制裁、反戦抗議、国営石油会社の反旗は間違いなくロシア政府に圧力をかけており、暴走しないという保証はない。
多くのロシア人が侵略戦争に関わりたくない、プーチン大統領に関わりたくないと思っている。国外で生計を立てようと必死になるのも無理はない。