◎2月24日以来、ウクライナの避難民8万5千人以上がハンガリーの国境検問所を通過した
移民の受け入れに否定的だったハンガリー政府がウクライナ難民の保護に奮闘している。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、ロシア軍の侵攻以来、少なくとも66万人がウクライナから隣国に逃れ、その数は恐ろしい勢いで上昇しているという。
UNHCRは3月1日の声明で、「ロシアの攻撃が続けば2015年のシリア難民危機を上回る今世紀最大の難民危機になる」と警告した。
現地メディアによると、28日の時点で30万~35万人の難民を受け入れたポーランドの国境検問所はひどく混雑しているが、ハンガリーの国境は比較的落ち着いているという。
ロシア軍の侵攻開始から数時間後、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相は強硬な移民阻止政策を覆し、ウクライナから避難する人々をひとり残らず保護すると誓った。
オルバーン首相は24日の記者会見で、「我々はウクライナ人を助けるための準備を進めており、迅速かつ効率的に課題に立ち向かうだろう」と述べた。ハンガリー軍は2月22日に国境警備を強化し、人道任務にあたっている。
ハンガリー政府のまとめによると、2月24日以来、8万5千人以上が国境検問所を通過したという。国境近くの町に集まったボランティアは人々に温かい食事を提供し、人道団体は大使館への問い合わせや子供の世話のサポートなどを行っている。
バス乗り場や駅には医療関係者が待機しており、体調の悪い人を保護している。
中部の都市から避難した女性はアルジャジーラの取材に対し、「銃を取り祖国のために戦うつもりだったが、母に子供を守らなければならないと言われ、避難を決断した」と語った。
女性はウラジーミル・プーチン大統領を軽蔑し、「血みどろの侵略者は欧州全体を手に入れたいと考えている」と述べた。
ハンガリーに避難した人々の多くが「侵略は予想外だった」と述べている。
祖父母、子供、2匹の猫の面倒を見ている母親は、「ロシア軍は東部の占領地(ドネツクとルハンシク州の一部)に乗り込み、体制を固めるだけだと思っていた」と語った。「まさか首都に攻め込んでくるとは思いませんでした」
プーチン大統領は21日にテロリスト国家であるドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立を公式に承認し、両国に平和維持軍を派遣すると発表した。
首都キエフから逃れた老婆はアルジャジーラに、「プーチンはウクライナを欲しがっている」と述べた。「あの男はウクライナの産業、貿易、小麦、人、すべてを手に入れたいのです...」
ロシア軍は首都キエフの近郊に迫っていると伝えられているが、戦地の状況はほとんど明らかになっていない。AP通信によると、米国防省の高官はロシア軍の現状について、「燃料は枯渇し、一部の陣地では食糧が不足している可能性もある」と述べ、士気は恐らく低下していると推察した。
しかし、この政府高官は「ロシアは手の内を見せていない可能性が高い」と警告している。「ロシア軍はまだ手元に多くの戦力を隠し持っており、ここ数日のキエフ侵攻の失敗を踏まえ、作戦を練り直し、戦術を変えてくるでしょう...」
キエフの中心部にあるテレビ塔は1日、ロシア軍のものと思われる砲撃を受け、損傷した。当局によると、少なくとも5人が死亡、5人が負傷したという。この砲撃で一部の公共放送チャンネルが停止したが、塔は倒壊を免れている。
第二の都市はハリコフではロシア軍のものと思われるミサイルが政府庁舎や広場に着弾し、市当局によると、少なくとも10人が死亡、20人が負傷した。その後、住宅地が空爆を受け、少なくとも8人が死亡したと伝えられている。