◎ロシアは先週、米国とNATOに厳しい安全保障条約の草案を提出した。
2021年12月21日/ロシア、首都モスクワの国防管理センター、ウラジーミル・プーチン大統領(Mikhail Metzel/Sputnik/Kremlin/Pool/AP通信)

12月21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はNATO(北大西洋条約機構)の支配地域をこれ以上東方に拡大しないという保証を米国に求め、「ウクライナ東部で進行中の緊張は西側が煽っている」と非難した。

プーチン大統領は国防管理センターで開催された軍高官との会談の中で、ロシアはウクライナや他の旧ソ連構成国のNATO加盟を認めておらず、中央および東ヨーロッパのNATO支配権の在り方を見直す必要があると強調した。

ロシアは先週、米国とNATOに厳しい安全保障条約の草案を提出した。

ロシアは草案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しないこと」や、「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」などを要求している。またロシアは、「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」を米国とNATOに求めたが、この要求はすでに拒否されている。

さらにロシアは、NATOに加盟した旧ソ連邦構成国がロシアへの脅威と見なされる地域に軍や兵器を配備しないことを要求している。これを認めると、NATOはロシアと国境を接するバルト海諸国やポーランドに兵を派遣できなくなり、さらにジョージアとウクライナのNATO加盟も諦めなければならない。

プーチン大統領は21日の演説の中で、「米国の兵器はロシアの最大の懸案事項であり、安全保障を確立するうえで避けて通れない課題のひとつ」と述べた。「米国は口頭での約束ではなく、法的拘束力のある文書で約束を守ると保証しなければなりません...」

またプーチン大統領は、「NATOは1990年代後半から東方に拡大している一方、ロシアは隣国には侵攻しないという保証をNATOに与えている」と主張した。「今欧州で高まっている緊張は、すべて彼ら(米国とNATO)の責任です。ロシアは対応を余儀なくされています。状況は悪化し、悪化し、悪化し続けました。その結果、私たちは西側に平和条約を結ぶよう要求したのです...」

ロシアは2014年にウクライナ南東部のクリミア半島を併合し、クリミアを「自国の領土」と宣言したが、国際社会はこれを認めていない。

その後、クリミアの北東部に位置するドネツクとルハンシクの分離主義者はウクライナからの独立を宣言した。ロシアは「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認したが、西側諸国とウクライナは分離主義者をテロリストと見なしている。

またロシアはジョージアの分離主義者(南オセチア国とアブハジア国)の活動も支援し、紛争を誘発し、ジョージアを3分割した。

プーチン大統領はNATOの拡大とウクライナにNATO軍を配備しないという保証を西側に強く求めたうえで、2週間前に行ったジョー・バイデン大統領との仮想会談に言及した。「米国は今起こっていることを理解しなければなりません。彼らはウクライナに兵器を配備しようとしています。モスクワとウクライナはわずか数千キロしか離れていません...」

プーチン大統領は、安全保障条約の草案に基づく地域の平和、安全保障、目に見える成果を達成するための建設的な話し合いを望んでいると強調した。「武力紛争と流血はロシアの選択肢に含まれていません。私たちは戦争を望んでいません。私たちは外交で問題を解決したいと思っています...」

米国のカレン・ドンフリート国務次官補は21日、米国はロシアの提案について話し合う心づもりでいると述べた。国務次官補によると、米ロの二国間協議は来年1月に行われる可能性が高く、NATO・ロシア協議およびEU・ロシア協議も1月に行われる見込みだという。

プーチン大統領は21日遅くにエマニュエル・マクロン仏大統領とオラフ・ショルツ独首相と電話で協議した。ロシアの報道官によると、プーチン大統領はマクロン大統領に外交努力が進んでいることを伝え、ショルツ首相とは米国とNATOに提示した安全保障条約の草案について協議したという。

ドイツの報道官は21日遅くの声明で、「ショルツ首相はロシアが提起した草案に関する真剣な交渉が行われることを期待している」と述べた。

フランスとドイツはドンバス戦争(ウクライナvs分離主義者&ロシア)の停戦協定ミンスクⅡの締結に尽力したが、ウクライナ東部では散発的な衝突が今も続いている。

2021年12月3日/ウクライナ、東部ドネツク地域のウクライナ軍基地(Ukrainian Joint Forces Operation Press Service/AP通信)
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