◎南部の港湾都市オデーサはウクライナの貿易拠点のひとつである。
2022年4月23日/ ウクライナ、南部オデーサの消防隊員(Max Pshybyshevsky/AP通信)

ウクライナ政府は23日、ロシア軍が南部の港湾都市オデーサをミサイルで攻撃し、子供を含む少なくとも6人が死亡したと明らかにした。

また政府はSNSに、ロシア軍は南東部マリウポリの軍拠点(アゾフスタル製鉄所)への攻撃を続けていると投稿した。

ロシア軍はマリウポリのウクライナ軍拠点を制圧したと主張しているが、ウクライナはこれを否定し、戦闘は続いていると反論している。米国防総省も22日、マリウポリをめぐる攻防戦は続いているとした。

ゼレンスキー大統領は23日のビデオ演説で、オデーサにミサイルが着弾し、生後3カ月の赤ちゃんを含む少なくとも6人が死亡したと述べ、ロシアを強く非難した。「この戦争が始まった時、赤ん坊は生後1カ月でした。彼らはただのろくでなしだ。ほかに言葉がない。ただのろくでなしだ」

またゼレンスキー大統領は、24日に首都キーウで米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官と会談すると明らかにした。ホワイトハウスはまだ声明を発表していない。

ゼレンスキー大統領は会談の詳細を明らかにしなかったが、「具体的な成果を期待している」と述べた。「プレゼントやケーキではなく、物資や兵器を期待しています」

ロシア軍の高官は22日、ウクライナ南部を完全掌握し、「東部ドンバスの分離主義国家の領土からモルドバの分離主義国家 沿ドニエストルを結ぶ陸上回廊を形成する」と示唆する発言をしたとされる。

南部が陥落すれば、ウクライナは黒海とアゾフ海に面する貿易の拠点を失うことになる。

ロシア軍は23日、東部ドンバスのいくつかの村を支配下に置き、大砲の倉庫を含むウクライナ軍の複数の施設を一晩で破壊したと主張した。ロシア軍は住宅地も容赦なく破壊している。

AP通信によると、第2の都市ハルキウ州の住宅地が砲撃を受け、州知事によると、民間人少なくとも3人が死亡した。

ドンバスのルハンスク州知事も郊外の村が砲撃を受け、少なくとも6人が死亡したと報告している。

最前線の戦況はほとんど明らかになっていないが、ウクライナ軍はロシア軍の侵攻に激しく抵抗していると伝えられている。

イギリス当局は23日、戦況について、「ロシア軍に目立った戦力の増強は見られない」とした。一方、ウクライナ政府は全国規模の夜間外出禁止令を再発出した。

マリウポリはロシア軍の最重要目標のひとつと考えられており、各地で激しい戦闘が続いているとされる。プーチン大統領は5月9日の対独戦勝記念日に東部の解放完了(制圧完了)を宣言すると予想されている。

マリウポリが陥落すれば、2014年に併合されたクリミア半島と東部の分離主義国家を結ぶ陸上回廊が完成する。

ウクライナ大統領府の顧問は23日、「ロシア軍がアゾフスタル製鉄所への空爆を再開し、占領を試みている」とSNSに投稿した。2日前、プーチン大統領は製鉄所への攻撃中止を命じていた。

ウクライナ当局によると、製鉄所の地下には市民と兵士約2000人がたてこもっているとみられるという。

製鉄所の作戦を指揮しているウクライナ軍の精鋭部隊「アゾフ連隊」は23日、避難を余儀なくされた女性と子供の映像を公開した。製鉄所の地下にたてこもっている市民の映像が公開されたのは初めて。

アゾフ連隊の副司令官はAP通信のインタビューの中で、「映像は21日に撮影したもの」と説明した。

マリウポリには逃げ遅れた住民10万人以上がとどまっているとされる。ウクライナ政府によると、同市では民間人2万人以上が死亡した可能性があるという。当局はロシア軍が造ったとされる複数の集団墓地の情報を公表しているが、詳細はまだ分かっていない。

今週公開された衛星画像には、マリウポリ近郊の2つの町に集団墓地と思われる墓らしきものが写っている。ウクライナ当局は、ロシア軍が大量虐殺の証拠を隠蔽するために、そこで遺体を焼却・埋葬したと指摘している。

ゼレンスキー大統領は米長官との会談について次のように述べている。

「以前に合意したウクライナへの軍事支援について、成果を得られると信じている。また我々は安全保障に関する協議を行う予定である」

イギリスのジョンソン首相は23日にゼレンスキー大統領と電話会談し、戦車、装甲車、ドローンの供与を約束した。

2022年4月23日/ ウクライナ、首都キーウ郊外のブチャ(Petros Giannakouris/AP通信)
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