◎ロシアは東部ドネツク州とルハンシク州の完全制圧を目指し、攻勢を強めている。
ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は2日、ロシア軍が同国の領土のおよそ5分の1を占領したという見方を示した。
ゼレンスキー氏はルクセンブルク議会に宛てた演説の中で、東部の戦線は1000km以上に及ぶと説明した。
ロシアは東部ドネツク州とルハンシク州の完全制圧を目指し、攻勢を強めている。
ウクライナ軍はルハンシク州最後の拠点とされるセベロドネツクの防衛にあたっているが、同州知事はロシア軍に領土の80%を占領されたと報告している。
英国防省によると、ロシア軍の侵攻速度に大きな変化は見られないが、セベロドネツクの大部分を占領し、ゆっくりではあるが確実に戦果を上げているという。
ルハンシク州のガイダイ(Serhiy Haidai)知事は2日、SNSの投稿で「ロシア軍はあらゆる方向から同市の防衛を突破しようと試みている」と報告した。
またガイダイ知事は「ウクライナ軍は反撃に転じ、いくつかの通りで敵を押し戻し、数人を拘束した」と明らかにした。
ウクライナ当局によると、セベロドネツクには市民約1万5000人がとどまり、その多くが市内の化学工場に避難しているという。
ゼレンスキー氏は1日の演説で化学工場に対するロシア軍の攻撃を「狂気の沙汰」と非難した。
ロシア軍に占領された南部の都市でも戦争犯罪と思われる報告が寄せられている。
ドネツク州マリウポリの市長は2日、親ロシア指導者への協力を拒否した公務員が処刑されたと報告した。
ボイチェンコ(Vadym Boichenko)市長によると、ロシア軍は市民数十人を市内の刑務所に収容し、拷問しているという。
マリウポリの被害はほとんど明らかにされていないが、ボイチェンコ氏の顧問は先週放送された米CNNニュースのインタビューの中で、少なくとも2万2000人が死亡したと述べていた。
北東部ハルキウ州でも砲撃が確認され、ウクライナ当局は女性1人が死亡、男性1人が負傷したと発表した。西部リビウに対するミサイル攻撃では市民5人が負傷したと伝えられている。
一方、欧米は対ロシア制裁を強化し、プーチン(Vladimir Putin)大統領に圧力をかけている。
米財務省は2日、プーチン氏と関係のある資産や関係者を制裁リストに追加した。報道によると、米当局はプーチン氏の個人資産とされるロシア船籍のスーパーヨット2隻の押収を目指すという。
また、プーチン氏と関係のある5人のオリガルヒと外務省のザハロワ(Maria Zakharova)報道官の米国資産が凍結され、米企業との取引も禁じられた。
EUもまもなく新たな制裁を科すと報じられている。この制裁には海路で輸入されるロシア産原油の禁輸が含まれる。
ロシア正教会の最高指導者キリル(Patriarch Kirill)総主教は制裁対象から除外される見通し。
バイデン大統領(Joe Biden)はウクライナへの長距離兵器供与を発表した。高機動ロケット砲システム「ハイマース」は戦況に違いをもたらすと期待されている。