◎米独豪など35カ国はパリ五輪からロシアとベラルーシの選手を除外するよう公式に要請する予定だ。
2023年2月10日/ウクライナ、首都キーウの地下鉄、空襲警報発令受け避難した人々(Efrem Lukatsky/AP通信)

ウクライナのゼレンスキー(Volodymr Zelensky)大統領は10日、35カ国の担当閣僚による2024パリ五輪について協議するオンライン会議に出席し、ロシア選手の出場はあり得ないと強く訴えた。

会議の議長を務めたイギリスのフレイザー(Lucy Frazer)デジタル・文化・メディア・スポーツ相もロシアとその同盟国であるベラルーシ選手の五輪出場に反対している。

ウクライナを含む36カ国は数日以内に共同声明を出す予定だ。

この会議は国際オリンピック委員会(IOC)が両国の選手を中立の立場で参加させることを検討していると表明したことを受け、召集された。

欧米各国はウクライナへの攻撃が続く中でIOCが検討を開始したことに不満を表明している。

ゼレンスキー氏はオンライン演説で、「民間人を殺し、テロを起こす国家の代表は五輪にふさわしくない」と糾弾した。

またゼレンスキー氏は、「ロシアは中立の白い旗さえ血で赤く染めるだろう」と述べた。「ロシアは今や、全てを血で染める国家に成り下がりました...」

ゼレンスキーは各国の代表に「IOCはロシア選手の出場が間違いであることを認識しなければならない」と訴えた。

ゼレンスキー氏によると、開戦以来、ウクライナのスポーツ選手とコーチ少なくとも228人が死亡したという。

ゼレンスキー氏は多くのロシア選手が政府や国営スポーツクラブとつながりを持ち、侵攻を支持したり、他人事のように振る舞っていると批判した。

またゼレンスキー氏は、「五輪の原則が破壊され、ロシア選手が参加することを許されたら、ロシアは五輪を通じて戦争プロパガンダを世界に拡散するだろう」と強調した。「IOCが許可すれば、世界がロシアのプロパガンダに付き合わされるのは時間の問題です」

IOCは先月、中立の旗の下でロシア・ベラルーシ選手の参加を検討すると示唆し、パスポートを理由に競技への出場を禁じることは差別であり、五輪憲章に反すると主張した。

ウクライナ政府はロシアが参加するのであればボイコットも辞さないと警告している。米独豪など35カ国はパリ五輪から両国の選手を除外するよう公式に要請する予定だ。

IOCは9日、ウクライナに対し、大会をボイコットするという脅しをやめるよう促した。

IOCのバッハ(Thomas Bach)会長は両国の参加を認めることは戦争を支持することに等しいというウクライナ当局者の発言を「中傷的」と批判している。

ゼレンスキー氏はバッハ氏に東部ドネツク州バフムートの前線を視察し、「現実」を直視するよう求めている。

オンライン会議の議長を務めたフレイザー氏は、「ロシアはウクライナのスポーツインフラを破壊し、ウクライナ選手に与えられるべき機会を奪った」と批判した。

またフレイザー氏はIOCが1年前にロシア・ベラルーシ選手の出場禁止を決めて以来、ウクライナの状況は何も変わっていないと強調した。

「プーチン(Vladimir Putin)が戦争を続ける限り、ロシアとベラルーシは世界の舞台で競争することも、五輪に参加することも許されません」

2022年4月3日/ウクライナ、首都キーウ郊外のブチャ(Vadim Ghird/AP通信)
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