▽やり直し大統領選は5月4日に予定されている。過半数を獲得する候補が出なかった場合は5月18日の決選投票で勝者を決める。
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ルーマニアの「やり直し大統領選」に立候補しているナショナリストの極右シミオン(George Simion)氏は2日、EU指導部を批判し、米国主導の「強力なNATO」を構築することが重要であるという認識を示した。
やり直し大統領選は5月4日に予定されている。過半数を獲得する候補が出なかった場合は5月18日の決選投票で勝者を決める。
地元メディアの世論調査によると、シミオン氏は他の候補をリードし、決選投票に進む可能性が高い。
シミオン氏はロイター通信のインタビューで、「NATOの最大の脅威はロシアではなく、EU指導部とトランプ米政権の対立によるNATOの分断・解体である」と語った。
シミオン氏は「ルーマニア・ファースト」を公約に掲げ、保守的な政策、ユーロ懐疑主義、トランプ(Donald Trump)米大統領のMAGA運動との緊密な連携を提唱している。
またシミオン氏は隣国ウクライナへの軍事支援に反対し、EU指導部のリーダーシップに批判的である。
シミオン氏はこう強調した。「EU指導部はNATOの最大の脅威をロシアと考えているが、それは大きな間違いである。最大の脅威は無能なEU指導部が米国と敵対し、NATOが分裂することだ...」
またシミオン氏はEU指導部がNATOを解体に追い込む可能性があると強調。「ルーマニア、ポーランド、バルト三国にとって、最大の脅威は先見の明がないEU指導部である」と主張した。
シミオン氏は「NATOが前進する唯一の方法は、米国がNATOをリードし続けることだ」と述べる一方、欧州諸国による防衛費増額は支持するとした。
ルーマニアの憲法裁判所は昨年12月、大統領選第1回投票の結果を無効と判断し、親ロシア派の極右ジョルジェスク(Calin Georgescu)氏の決選投票進出に待ったをかけた。
やり直し大統領選までの間、国会議長が大統領代行を務めている。
憲法裁は人工知能(AI)を含むデジタル技術の違法な使用や、未申告の選挙資金が使用されたと指摘。また、ジョルジェスク氏がソーシャルメディア・プラットフォームで「優遇措置」を受け、その結果、有権者の意思表示が歪められたとしている。
また憲法裁は「ロシアの介入が疑われる」と指摘した。
選挙管理委員会は先月初め、ジョルジェスク氏のやり直し大統領選への立候補を拒否。ジョルジェスク氏は憲法裁に異議を申し立て、この決定を覆すよう求めた。
しかし、憲法裁はジョルジェスク氏の訴えを退けた。
シミオン氏は自身が勝利した場合、ジョルジェスク氏を首相に任命すると示唆している。
ジョルジェスク氏は以前、国内のエネルギー企業を全て国有化すると主張し、投資家の不安を煽った。
シミオン氏はロイターに、「企業を国有化するつもりはない」と述べ、イタリアの極右メローニ(Giorgia Meloni)首相を引き合いに出し、「国を衰退させるようなことはしない」と強調した。
情報機関はジョルジェスク氏の陣営がティックトックのユーザーに36万1000ユーロの報酬を支払い、ジョルジェスク氏のコンテンツを宣伝させたと主張している。
ジョルジェスク氏は自身の選挙活動費をゼロと公言していた。
捜査当局はジョルジェスク氏が公職選挙法に違反した疑いがあるとみて捜査している。