◎首都キーウへのミサイル攻撃が強化されれば、さらに多くの民間人が犠牲になる可能性がある。
ロシア軍は14日、ウクライナの首都キーウ近郊にある軍需工場を攻撃した。
ロシアはキーウから撤退し東部地域の占領に焦点を移したと考えられているが、ミサイル巡洋艦「モスクワ」を失ったことなどに憤慨し、キーウへのミサイル攻撃を強化すると警告している。
ロシア国防省は15日未明、海上発射型巡航ミサイルで14日夜にキーウ近郊の軍需工場を攻撃したと発表した。
ロシア当局はウクライナとの国境に近い西部ブリャンスク州の町がウクライナ軍の越境攻撃を受けたと14日に主張し、その報復として軍需工場を攻撃したと思われる。
ウクライナはロシア領への越境攻撃を否定し、反ウクライナをあおる偽旗作戦と非難した。
首都キーウへのミサイル攻撃が強化されれば、さらに多くの民間人が犠牲になる可能性がある。
AFP通信によると、ロシア軍が攻撃したキーウ近郊の軍需工場は旗艦モスクワを撃沈したとされるネプチューンミサイルを製造していた。
ロシア国防省の報道官は、「今夜、海上発射型巡航ミサイル”カリブル”でキーウの軍事施設を攻撃した」と述べた。
また報道官は、「ウクライナがロシア領への攻撃を続けるのであれば、ロシアはキーウへのミサイル攻撃を強化する」と警告した。「キーウに対するミサイル攻撃の回数と規模は、キーウの民族主義政権がロシア領へのテロ行為や破壊工作を行うたびに増加する」
軍需工場の近くで木材工房を営む男性オーナーはAFP通信の取材に対し、「午前1時半ごろ空爆があったと事務所の警備員から連絡を受けた」と説明した。「空爆は5回あったそうです。従業員は事務所にいましたが、爆風で足元をすくわれたと言いました」
また男性は、「ロシアは軍艦モスクワが撃沈されたことにイラつき、復讐しているのだろう」と語った。
ロシア当局は14日、ウクライナ軍が軍用ヘリ2機をロシア領ブリャンスク州に送り込み、村を爆撃し住民8人を負傷させたと主張した。
ウクライナは越境攻撃を否定し、ロシアの偽旗作戦を非難した。ロシアの主張が事実か否は不明。
ロシア軍はキーウ周辺から完全撤退し、東部ドンバス地方の占領作戦に移行したと考えられている。キーウには多くのウクライナ兵が配備されているが、ミサイル攻撃には脆弱である。
ロシア国防省は15日の声明で、旗艦モスクワが沈没したことには触れなかった。
AFP通信によると、攻撃対象となった軍需工場は対艦ミサイルを製造しており、モスクワを撃沈したとされるネプチューンミサイルに類似したものも製造されていた。
ロシアはモスクワ内で原因不明の火災が発生し弾薬が爆発、その後、えい航中にバランスを崩し沈没したと説明している。
一方、米ワシントン・ポスト紙は15日、ロシアが米国に対し、ウクライナへの兵器供与をやめなければ予測不可能な事態に発展すると警告する外交文書を送ったと報じた。
米国は13日に8億ドル(約1,000億円)相当の追加軍事支援をウクライナに送ると発表。ウクライナへの軍事支援は25億ドル(約3,100億円)を超えた。