◎ウクライナ大統領府によると、この攻撃で民間人少なくとも11人が死亡、数十人が負傷した。
プーチン(Vladimir Putin)大統領の古希(70歳)を祝ったタカ派は10日、ウクライナ全土にミサイルが降り注いだことに大喜びした。
プーチン氏は10日のテレビ演説でウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋で発生した爆発を「ウクライナのテロ」と断言し、ウクライナ各地をミサイルで攻撃したと認めた。
ウクライナ大統領府によると、この攻撃で民間人少なくとも11人が死亡、数十人が負傷した。西部リビウ州と東部ハルキウ州政府はエネルギーインフラが攻撃を受け、一部地域で停電が発生したと報告している。
プーチン氏はこのミサイル攻撃がクリミア大橋爆破への「仕返し」であることを隠さなかった。「ウクライナ政府はその行動によって、国際的なテロリスト集団と同じレベルに置かれ、その中でも最も悪質なものとなりました」
プーチン氏はロシア領土にテロ攻撃を仕掛ければ、そのレベルに応じて厳しく対応すると警告した。「この種の犯罪を放置することできません。テロ攻撃が続くようであれば、ロシアの対応はより厳しいものになると誰もが認識すべきです」
ロシア国営の対外発信テレビ局RTの編集長はミサイル攻撃に歓喜した。
安全保障会議の副議長であるメドベージェフ(Dmitry Medvedev)前大統領も、「この攻撃は始まりに過ぎない」とテレグラムに投稿している。「これは最初のエピソードに過ぎません。次もあります。そしてさらに...」
メドベージェフ氏は2008~2012年まで大統領を務め、一時はリベラル派を装っていたが、その後まもなく本性を現し、プーチン氏の側近に就任した。
メドベージェフ氏は「ウクライナのナチス政治体制はロシアにとって常に直接的かつ明確な脅威となる」と語った。
ウクライナの屈服を望んでいるタカ派はメドベージェフ氏だけではない。
ロシアの芸能タブロイド紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」の戦争特派員はテレグラムに、「一回限りの報復ではなく、ウクライナ国家が機能しなくなるまで、その深部を破壊することを望んでいる」と投稿している。
プーチン氏の側近で、最近上級大将に任命されたチェチェン共和国のカディロフ(Ramzan Kadyrov)首長はゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)大統領にアドバイスした。
「あなたは8年間、民間人を爆撃し、都市のインフラを破壊し、原子力発電所を砲撃し、橋を爆破し、重要な施設に発砲してきましたが、それがあなたの身の回りで起きた時、あなたはそれをテロと言うのですか?」
カディロシ氏はウクライナ東部の分離主義国家ドネツク・ルガンスク両人民共和国とウクライナ軍によるドンバス戦争を「ウクライナによる大量虐殺」と呼んでいる。
上級国民のカディロフ氏はゼレンスキー氏をしつこく嘲笑した。「我々はあなたに警告しました。ゼレンスキー、ロシアの攻撃はまだ始まってもいません。だからカモのように文句を言うのはやめて、やられる前に逃げなさい。逃げろゼレンスキー、振り返らずに西側に逃げるのだ」
カディロフ氏はタカ派を代表する超国家主義者で、ロシア軍指導部の作戦を公然と批判していたが、「今は特別軍事作戦に100%満足している」と付け加えた。
国営メディア「ロシア24」と「ロシア1」のレポーターはテレグラムに、親ロシア派とみられる男女がキーウの爆破映像の横で嬉しそうにポーズを決める写真を投稿した。
このレポーターは「西部イワノフランキフスク州の火力発電所が被災したと報じられている。この発電所はウクライナ西部の都市に電力を供給しているだけでなく、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアにも電力を供給している」と投稿している。
一方、米国のバイデン(Joe Biden)大統領は10日、ゼレンスキー氏と電話会談を行い、ウクライナに高度な防空システムを提供すると確約した。
G7首脳は11日にオンライン首脳会議を行う。ゼレンスキー氏も会議の冒頭で演説する予定だ。