◎ロシア国防省は9日、ウクライナの越境攻撃に対抗するため、戦車、装甲車、大砲、ロケットシステムなどをクルスク州に向かわせていると明らかにした。
ウクライナ陣営によるロシア西部クルスク州への越境攻撃が4日目に突入した。
ロシア政府は9日、緊急事態宣言下にあるクルスク州に増援部隊を派遣。激しい戦闘が続く中、ロシア軍は戦車や大砲、ロケットシステムなどを同州に移し、応戦を続けているものとみられる。
ウクライナ東部ドネツク州では同日、ロシア軍のミサイルがコンスタンチノフカの商業施設に着弾し、少なくとも14人が死亡、44人が負傷した。
ウクライナ当局によると、ミサイルは住宅街にあるモールを直撃したという。
ドネツク州のウクライナ当局はテレグラムに声明を投稿。「これは非武装の市民が生活する住宅街を狙ったテロ攻撃である」と非難した。
コンスタンチノフカがこの規模の攻撃を受けたのは約1年ぶり。昨年9月に屋外施設にミサイルが着弾し、17人が死亡している。
国連の人権監視団によると、先月のウクライナにおける民間人の犠牲者は22年10月以来、最も多くなり、少なくとも218人が死亡、1018人が負傷したという。
ロシア国防省は9日、ウクライナの越境攻撃に対抗するため、戦車、装甲車、大砲、ロケットシステムなどをクルスク州に向かわせていると明らかにした。
また同省はウクライナ国境から10キロほど離れた町で戦闘が続いていると認めた。この町には西欧に天然ガスを供給するパイプラインの拠点があるとされるが、ウクライナ陣営の支配下に置かれたかどうかは不明だ。
ウクライナ政府はこの越境攻撃に関する声明を出しておらず、否定も肯定もしていない。
クルスク州知事代理はテレグラムに声明を投稿。「戦況は厳しいと報告を受けている」と書き込んだ。
地元の市民団体などがこの戦闘により避難を余儀なくされた市民に支援を提供している。クルスク州政府は避難者を3000人と報告している。
ロシア国防省に近い著名な軍事ブログ「Rybar」は今週、この地域で活動するロ軍の状況について、「悪化の一途をたどっており、ウクライナ軍は6日から少なくとも11の集落に入ったが、そのほとんどを占領せず、通過したようだ」と報告していた。
一部の専門家はこの越境攻撃について、「ウクライナはロシアとの和平交渉を有利に進めるため、国境付近のロシア領やパイプライン拠点を支配下に置き、それを返還する見返りにロシアが併合した4州とクリミア半島を取り戻そうとしている」という見方を示している。