ロシア、グリーンランドめぐる米欧の対立を歓迎、慎重な意見も
トランプ米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの「獲得」を推進したことを巡り、ロシア政府や国営メディア、親クレムリン系の論客らはさまざまな反応を示してきた。
-1.jpg)
ロシアは米国と欧州間でグリーンランドをめぐる緊張が高まる中、喜びと含み笑い、そして慎重な姿勢を同時にみせている。トランプ(Donald Trump)米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの「獲得」を推進したことを巡り、ロシア政府や国営メディア、親クレムリン系の論客らはさまざまな反応を示してきた。
一部のロシア側の見解はトランプ氏の動きを歴史的な出来事として評価し、EUやNATOを弱体化させる可能性に言及している。これらの立場は、ロシアが伝統的に西側の分断を歓迎してきた立場と符合するものである。また、この議論がウクライナ戦争への関心をそらす効果を持つとの見方もあり、露骨な利害誘導に利用されている。
ロシア大統領府の報道官はグリーンランドの獲得が国際法に適合するか否かは別として、米国が実際にグリーンランドを掌握すれば米国史だけでなく世界史に名を残すだろうとの専門家の見解を紹介しつつ、「良いか悪いかを議論することなく、それを支持する意見もある」と述べた。プーチン(Vladimir Putin)大統領も過去に、米国が19世紀にもグリーンランド獲得を模索した歴史があることを指摘し、北極圏での米国の戦略的進出は予想された動きだとの認識を示している。
ラブロフ(Sergey Lavrov)外相もこの問題をめぐって一定の評価を与えている。ラブロフ氏はデンマークによるグリーンランド支配を「植民地主義の名残」と表現し、グリーンランドは本質的にデンマークの一部ではないと主張した。また、トランプ氏のアプローチを、ロシアが2014年にクリミアを併合した行為と比較する発言も行っているが、これには国際社会の大半が違法とみなしているクリミア併合との類似性を強調する狙いがある。
国営メディアはグリーンランド問題をナポレオン戦争などの歴史的大転換と比較し、トランプ氏が2026年7月4日の米国独立250周年までにグリーンランドを実際に掌握すれば米国の偉大さを示す偉業になるとまで報じた。これに対して、親クレムリンのコラムニストらは欧州側が小規模な軍隊を派遣している様子を嘲笑し、欧州の無力さを強調している。
一方でロシア内の一部論者は、米国がグリーンランドに進出することが逆にロシアの安全保障や経済に悪影響を及ぼすとの懸念も示している。グリーンランドは鉱物資源が豊富で、北極圏の戦略的要衝であるため、米国の支配下に置かれればロシアの北方艦隊や地域戦略にとって潜在的な脅威となる可能性があると指摘されている。
ロシアの保守派政治家や軍事評論家の間には、トランプ氏の動きをNATOの解体や西側連携の弱体化へとつながる契機とみなす声もある。このような見方は、ロシアが米欧の対立を自身の外交・安全保障戦略に利用しようとしていることを示している。
総じて、ロシアの反応は単純な支持や反対に収まらず、米国と欧州の緊張関係を利用しつつ、自国の北極圏における影響力をどう確保するかという複雑な利害が絡んでいることがうかがえる。
