◎西部の都市リビウはポーランド国境から70kmほどのところに位置し、戦地から脱出する市民の中継地になっている。
ウクライナ西部リビウで活動する動物保護団体はロシアの侵略から逃れた動物を保護している。その多くが飼い主と逸れたペットである。
団体は犬や猫だけでなく、オオカミ、ヤギ、トカゲ、フクロウなども保護している。一部の市民は犬や猫と一緒に国外に避難したと伝えられているが、飼育が難しいペットを飼っていた人の多くが避難所や仮設宿泊所に迷惑がかかることを恐れ、自宅にペットを残してきた。
施設内には首都キエフから避難した猫が10匹ほど身を寄せている。施設の横にある納屋では犬が鳴き、近くの公園を散歩するためにやってきたボランティアが次々犬を連れて外出する。
ロシア軍はリビウの石油貯蔵施設などをミサイルで攻撃したが、歩兵部隊は遠く離れた北部や東部地域で主に活動しているため、市街戦の心配はない。
施設のマネージャーであるウクライナ人のザリプスキー氏はAFP通信の取材に対し、「ハリコフ、キエフ、ムィコラーイウからリビウ経由で国外に避難した人々がペットを置いていくんです」と説明した。
ザリプスキー氏は保護施設を「動物たちの天国」と呼び、国外に避難できない動物や飼い主と逸れたペットを保護することに生きがいを感じていると語った。「私たちはこの戦争で動物とより深く関わるようになったのです...」
国連によると、2月24日の開戦以来、ウクライナの市民370万人以上が国外への避難を余儀なくされたという。国外にペットと一緒に避難した人はごくわずかと考えられている。
他のメディアもウクライナ国内で犬、猫、オウム、カメなどを安全な場所に運ぶ動物愛好家や団体の活動を報じている。
リビウはポーランド国境から70kmほどのところに位置し、戦地から脱出する市民の中継地になっている。
戦地からペットと一緒に逃れた多くの市民が、国外にペットと一緒に避難することは難しいと考え、少しでも安全なリビウで団体に家族を託す。
ザリプスキー氏によると、開戦以来、同氏の施設は戦地から避難してきた人々から約1,500匹の動物を受け入れたという。
ザリプスキー氏は、「この前、ボランティアがリビウの駅で迷子になっていた猫10~20匹を保護しました」と語った。
駅構内の混雑や混乱に直面した一部の市民はペットを諦め、放置する。一部の猫はペットキャリーに入れられた状態で放置されていた。
ザリプスキー氏はペットの保護活動について、「ルールや手順はなく、ボランティアが迎えに行くだけ」と説明した。
東部の紛争地から来たある犬は、2週間もキャリーの中に放置されていた。7年間連れ添った飼い主と別れた猫は施設のボランティアと馴染めず、寂しそうに見える。
ザリプスキー氏はボランティアの多くが噛まれたり引っかかれたりしたと述べた。「動物たちもストレスを感じています...」
しかし、ペットたちにぐずぐずしている時間はない。ザリプスキー氏によると、これまでに約200匹がリビウの地元住民に引き取られ、その他のほとんどがボランティアによってドイツ、ラトビア、リトアニアなどに運ばれる。
現在、里親募集中の猫はおらず、ポーランドに移送されることが決まっていた。
ザリプスキー氏は26日、犬の里親になってくれる地元住民3組と書類を取り交わした。
施設にはリビウにとどまる住民、カップル、家族が殺到している。
AFPの取材に応じた女性は、「ウクライナ人は動物が本当に好きなんです」と述べ、保護犬の散歩に出発した。
4歳の娘と一緒に首都キエフから避難した男性は、「運動がてら、犬の散歩に協力しています」と語った。
この男性はモルモットのアペルシンカ(♂)とリモナドカ(♀)の里親になった。
26日の午後、子供連れの母親はウクライナの国旗がはためく避難所の門をくぐり、ワンワン吠える狩猟犬を引き連れ散歩に出発した。「犬と散歩していると、まるで普通の生活をしているように感じるんです」